357話 7day?~少年ではない少年
SIDE:世界
「で?何故自分は収監されようとしているんでしょうか?」
「君が不法入国をしている疑惑があるからだよ」
「へぇ?それは不思議ですね。自分は正式な手続きで入国し、正式な手続きで出国しようとしているのに、不法だと」
「ああ、そうとも。その場合の罰則はそれぞれだが───今ちょうど人手が足りなくてね「ああ、そう言うのは良いですから」…えっ?」
「私の職業は神祇伯。この職業は神明裁判を行うことが出来る…貴方がたに、その覚悟はおありか?」
少年の静かな圧に空港の担当官らはたじろぐ。
「ご安心を。神明裁判はその国が求める神が判断するので不当な扱いと判決が出れば指示をした者達まるごと裁きが下りますので…さあ、やりましょうか!」
ウキウキ顔でスキルを展開する少年に担当官らは慌てて待ったを掛ける。
が、
「半日待たされてこれ以上は待ちません。いざ神明裁判を始めます」
少年がそう宣告すると同時に、何処からともなく鐘の音が聞こえた。
『原告:政府外交部局長他20名。被告:高野香也』
辺りに声が響き渡る。
保安官がその声に驚き、銃を抜こうとした瞬間、
『審判の席で被告を私事で害さんとする蛮行、許しがたし』
その声と共に室内にもかかわらずその保安官に雷が落とされた。
担当官らはその光景に顔を真っ青にして震えている。
「此度の神明裁判官はどなたでしょうか」
『我が名はミカエル…我が名において公平な裁判を約束しよう』
「ありがとうございます」
『では裁判を始める。政府外交部局長他20名、被告高野香也が不法に入国をしていると言う証拠を提出せよ』
ミカエルの声に担当官らは怯え戸惑うだけで何もしない。が、どうやら別の所で証拠資料を提出したようで、何かをめくる音が響く。
『これを日本国に提出するという事で構わないのだな?───そうか。ならば貴様らに審判を下さなければならないようだ』
ビクリと担当官らは身をすくませる。
『この者の行動を日本国出国以降全て調べたが、正式に第三国経由でこの国に到着し、道に迷いながら国内を回って人々を救い現在拘留されている空港に来ている。
しかしここにある証拠資料にはその行動とはまったく違うことが書かれている…これはただの間違いでは済まされない重大事案だ』
あ、なんか怒ってらっしゃる。
『───ほう?戦力の増強のため、冤罪で拘束し使おうと考えたと…しかも過去同じ事を行っている、だと?浅はかな。貴様らはこの場をなんだと心得る。ここは神明裁判の場であり、我は魂の天秤を持つ者ぞ!虚偽は重罪と知れ!』
おぉ…ガチギレ状態ですなぁ。
『善意を踏みにじり悪意によって強制労働で使い潰す算段…許しがたし!判決は被告高野香也を無罪とし、不当拘束及び国家的冤罪を行った咎で首都の結界の解除をユグドラシル様に依頼する。恐らくは巫女殿も許可してくださるだろう』
ミカエルの台詞に担当官らはガタガタと震え抱き合っている。
───うん。ごついおっさんらが抱き合っている姿は…あんまり…
『何故巫女の名が出るか?彼は巫女殿のご友人だぞ?』
あ、そこバラすんだ…
『うむ。ユグドラシル殿から許可は得た。これよりこの国全土への通達を行う』
鐘の音が響く。
【ただいま神明裁判を結審。善意の協力者を拘束、冤罪による強制労働を複数回国が行っていたことを確認した。よって首都にある異神ユグドラシル様及び巫女殿の結界を解除する。これは我ミカエルの名において行うものとする】
鐘の音が響き渡る。
担当官らは膝をつき許しを請うが、それに答える応答はない。
「で、自分はどうなるんですかね?拘留ですか?処刑ですか?なんなら出国の許可だけでも良いですよ」
香也はそう言うと担当官はヨロヨロとパスポートを手に取り、スタンプを押すと香也に手渡した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます