98話 帰宅~からのおやつ無双

 帰宅してすぐに洋、和菓子の残りを調べると…

 和菓子だけがほぼ底をついていた。

 洋菓子は少しある程度で、スーパーで買った菓子類はあまり手をつけられていなかった。

 ゼロでは無いだけマシと思っておこう…こうなったら今日は残っている洋和菓子を…待てよ?

 市販の菓子をアレンジしても良いかな?

 ミニラングドシャとミニチョコチップがあるし…火照った体をクールダウンさせるのに氷菓も良いかな…でも時間が…

 空間操作を何度か確認し、良い方法を思いついたので実行する。

「何を作るんッスか?」

 興味津々のタイムさんに僕は市販の菓子を並べて見せる。

[アイスクリンという氷菓にこれらのミニ菓子をトッピングします!]

「氷菓、ですか?しかし時間が…」

[それを何とかするのが空間操作です!]

「うわぁ…」

「超絶技術の無駄遣いするつもりですよこの人…」

 使える物は使う!これ大事です!

 そして一番の問題は、なんと言っても量ですわ。

 作る際に体力がかなり必要になるので僕としては空間操作は心からありがたい。

 アディエーナ様ありがとう!

【妹(ア):お姉様から感謝された気がして】

 ………うん。感謝はしました。ダイレクトに伝わるものなんだなぁ…

 ちょっと遠い目をしながらも材料を取り出す。

 卵1パックと牛乳2本、砂糖と蜂蜜を用意。あとは…卵白と卵黄を分けるボウルは側に置いておこう。

 卵白はムラングや…あ、そうか。ラングドシャもつくれる。

 今は、アイスクリン作りに全力を注ごう。

 7リットルくらいの寸胴を用意し、卵黄を投入。次いで砂糖と蜂蜜を入れて、最後に牛乳をまずは半分入れてかき混ぜながら温める。

 煮立つ前に二回目の牛乳を加えて更に混ぜ、馴染んできたら火を止める。

 そして寸胴の中の空気を少し抜きながら温度を一気に下げていく。

 君が!良い具合に!固まるまで!混ぜるのを!止めないっ!

「……無駄に超絶技巧ッスよね…三つですか?同時操作」

「四~五だと思うんだけど…」

「…それって、既に操作という域超えているんじゃないかと思うッス」

 よし、冷え固まってきたから混ぜるのを止めてもう少しだけ冷やそう。

 寸胴を横に置き、続いてメレンゲクッキーを作る。

 ボウルの中にある卵白をツノが立つまで泡立てながら砂糖を3~4回に分けて投入。

「えっ、砂糖そんなに入れるんッスか!?」

「うわぁ…うわぁ…」

 怯える二人。しょうが無いよね!およそ500gは入れたし。

 サックリと混ぜ終わったらオーブンから天板を取り出し、クッキングシートを引く。

 そして天板を少し浮かせて…天板自体を少し温める。

 混ぜた卵白をボウルから浮かせてしぼり袋を模した空間に入れて一口サイズに絞り出す。

[大皿お願いしても良い?]

「了解ッス!」

 天板一杯に並べて絞り出したら100度くらいに天板周辺を加熱しながら少し空間内の概念を操作する。

 うううっ…こういった時短系って時と死の概念って知ってしまうと難しすぎませんかね!?劣化とかも操作できるレベルではないんですけど!

「「うわぁ…この人神の領域に踏み込んでるぅ…」」

 あ、ヤバイ。気持ち悪くなってきた…けど、良い具合に焼けたからストップ!

 ふらつきながらもクッキングシートを浮かせて大皿の上に置く。

 まだ残っているけど…これは横着せずに普通に焼こう。


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