569話 義体と、報復
「───ごめんて」
「うーーーーっ!」
「文句はこの箱庭に言ってくれ…さっきの義体について説明するから」
「や!」
箱庭も酷いけど兄さんも酷い!
「…はぁ、このまま説明する…そこの2女神、その生温かな目は止めろ」
「いやぁ…珍しい姿が見られて僕としては嬉しいよ」
「友紀にこうも泣かれたら誰だってそうなる!」
「「確かに!」」
……この人達、コントしているのかな?
涙が引っ込んだので兄さんの言い訳を聞くことにする。
「まずあの義体は俺の疑似クローンであり、技術の粋を集めて作られた魂のボディスーツだ」
うん。何を言っているのか分からない。
「魂で乗り換え可能な義体だな。そして一番の利点は魂の緊急転送が出来るし、自爆装置も付いている」
「「「ちょっと待って!」」」
待って!今聞き捨てならない台詞が入ってた!
「どうした」
「いま自爆装置って!」
「ああ、当然着いている。安心してくれ。自爆の際魂は三重ガードされ、7種のワープ法を用いるためにほぼ確実に脱出可能だし、脱出しないと爆発はしない」
そういう問題じゃないんだよなぁ…
「あと今回は箱のサポートを使ったために妨害があっても問題無く魂の転移が出来た。恐らく世界が相手だろうと思い何も言わなかったが…正解だったよ」
「「貴方は常に何と戦っているんですか!?」」
ほんとそれ。
僕は抗議を籠めてギュウギュウに抱きしめた。
「今回使わなかったが、自爆をした場合はこの規模の大地なら消失するな」
「「「えっ?」」」
「んっ?当然だろう。ダンジョンと共に自爆する時などで利用するんだ。それぐらいで無いと…ああ、基本神聖属性だが、状況に応じて2属性に変えたりしている。
まあ、一度も使ったことはないが」
「……それも、機構神の作かな?」
恐る恐るといった感じでユルフテラ様が兄さんに聞くと兄さんは頷く。
「ああ。俺と共作だな。はじめは脳含めてやろうとか言っていたが、流石にそれは他世界で不利な状況になる事があると俺が拒否した。
霊体や魂の転移およびリモートで動かせるようにと改良したんだ」
「「「…………」」」
「並列思考を用いて三体同時に動かすことも出来る」
「控えめに言って地獄かな?」
「いや、力がどうかですよ」
「兄さんがいっぱい?」
「俺と義体3体を同時に相手取るような闘いは今のところ無いな…だいたい出力は20%が限界だと言われた」
「トンデモ兵器じゃ無いか!」
「20%…想像が付きませんね」
頭を抱えるユルフテラ様と険しい顔のミツルギ姉様。
「兄さん、知らないうちにたくさん量産型が出来ているとかは?」
「無理だな。自立思考を行うと「覚者」や「人間嫌いで唯我独尊な剣客」、「求道者」のどれかのパターンになって世界一つ消えたと言っていた。無論殴ったが、奴もトラウマになったらしい」
しでかしていた!やっぱりマッドがしでかしていた!
「世界一つ…君のクローンは星一つ破壊すると」
「詳しくは知らんがそうらしい。実験用の世界を創り出したけど、まずはと創った3体が真っ直ぐ奴の所にいって攻撃。五重の絶対防御を破壊してきたため全力で転移した直後大技ぶちかまされて世界崩壊」
「「「うわぁ………」」」
自重を無くした兄さんなんだろうな…自分がクローンであると分かって即報復行動を取るあたり…
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