498話 先手、陰謀論 後手、請願書提出?
SIDE:日本
「うん?体育館行かないのか?あと6分で配信始まるぞ?」
「バッカお前洗脳されるぞ!?横見さんも「国主導の洗脳工作だ」って言ってたし!絶対洗脳されるって!」
「ミオちゃんの会社も嘆願書を提出するって言ってるし、あのエセ巫女も快く譲ってくれるだろ!」
「でも横見さん、アレは神ではなく悪魔って言ってなかったか?」
「え?マジ?」
「ああ、言ってた。あ、じゃあミオちゃんヤバイ?」
「ああああ!ヤバイヤバイ!連絡しなきゃ!」
「………アホらし。じゃ、俺体育館行くから」
「素晴らしいな、民意!何よりほとんど懐が痛まず責任も取らず、お金が自動的に入ってくるのが良い!」
「しかし大丈夫なんでしょうか…」
「ああ?一部の連中が祭り騒ぎをしているだけだぞ?神様も暇では無いさ。例え署名が7万人集まったからって何というわけでも無い。
こんな民意がありますよと提出して俺等の仕事は終わり。ちゃんとメディアにも「皆さまのご意見を届けさせていただきました」と言うだけで、叩かれるのは内閣か騒いでいる連中だけだよ」
ヘラヘラと笑う社長にミオのマネージャーは不安そうな顔をする。
「相手さんも分かってるさ。紙代、印刷代や箱代含めて10万たらずで名前が売れるんだぞ?最高じゃないか」
「命の危険とかは…」
「あったとしても、警察が守るだろ。善良な市民を守るのがお仕事だ」
会社として守る気は無く、使い潰す気だとマネージャーは歯を食いしばる。
「我々は人気商売で、客商売だ。お客様が第一、演者は三の次だよ」
「失礼します」
マネージャーは一礼し、社長室を出ようとしたが、後ろから社長が無慈悲な台詞を言い放つ。
「もし彼女が辞めたいとか言い出したら、これまで売り出すために使った2200万を回収するって言っておいて」
「…彼女はかなりの利益を出したのでは?」
「出したよ?でも全然足りない。なにせ5000万ばら撒いたからねぇ…契約書もあるし、これさえ完済できたらあとは彼女の利益になるわけだし…頑張って欲しいよね」
「………失礼します」
マネージャーは今度こそ社長室から出て行った。
「───は?受け取れない、と?」
「ええ。これを受け取るわけにはいきません」
「国民の権利ですよ!?民意ですよ!?」
「では貴方が代表者として一筆お書きください請願表題と本文を。キチンと手続きに則っていただかないと困るのですよ」
「いや、私は…弊社に届いたこれらをお持ちしただけで…私は関係ないです」
「おたくの会社の人間を巫女にして欲しいという請願書ですよね?関係ないわけが無いでしょう…それを代表者として社長の貴方が持ってきた。違いますか?」
「………」
「それと、神は人の力や法でどうこうする事は出来ませんので、もしこれを提出した結果数日前のような事が起きても我々には対応する力がありませんが…
確かに国民の権利ですのでキチンとした手続きに則って提出されれば委員会で厳正に審査を行わせていただきます。さあ、代表者記載を。指名の後ろに他何名と記入もよろしくお願いします」
「ア゛ッ───────!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます