650話 にゃんにゃんこねこねと、呪殺テロ
「にゃっぱぱ~ぱぴぴらんらんるるにゃーにゃにゅーにゅーみゃーみゃーにゅー」
何をしているかというと、パンを作っております。
そして同時並行でかまどではお米炊いてます。
消費が激しいから先に作っておこうかなーって。
パンは12斤ワンセットレベルになってきたから…30斤ほどかなぁ。
でもでもジャムがあるからなぁ…あ、ヨーグルトを作るという手も!
ああっ!アイスもまた作らなきゃ!
『パパ上機嫌だね』
「どちらかというと追い詰められているような気がするよ?」
まあ、作るのは好きだけど、好きだけど!
SIDE:協会本部
「襲撃してきたのは下田広樹19歳と戸川騎士19歳。共に大学生でした」
巽がプリントアウトした資料を藤岡に提出すると、それを一瞥した藤岡がため息を吐いた。
「自爆した奴の身元は分からなかったか…」
「はい…しかし催眠と自爆テロと呪具プラス外法ですか…」
「岩崎の救命師団が居なかったら大変な事になっていたぞ」
「カウンターが血の海になっていたでしょうね…」
襲撃者が入ってくる前に異変を察知して2人を無力化してもう一人も…といった所で自爆されたのだ。
咄嗟に障壁でその人物を隔離しなかったらどうなっていたか…2人は考えたくなかった。
「……なあ、巽」
「はい。何でしょうか」
「この手口、思い出さないか?」
「思い出す、ですか?」
「呪殺テロだよ」
「えっ?まさか……ああ!」
催眠誘導で一般人に爆弾を運ばせ、その命を糧に強力な呪具が発動する。
たとえ上位の探索者であっても呪詛や呪具には余程の対策をたてていない限りは対応できない。
それこそ上位の神聖職の人間が結界を張ったり場を浄めていたとしても被害を完全に抑える事は出来ないだろう。
「まさかこの手口ですか…!」
「恐らくは、だが…まあ、十中八九そうだろうな。それに世界でもそこそこ猛威を振るい日本では甚大な被害が出た。理由は簡単だよな」
「神聖職者の重要性、有用性を黙殺されたから…ですよね」
「ああ。下手をすると学会の偉いさんもダンジョンの関係者か、利益供与者かも知れんぞ」
「少し、連絡を入れて確認してみます」
巽は険しい表情でどこかへ連絡をし、待つ事数分。
「───っ!!、大至急日本職業分類法策定者の学派連中を調査するように!同じ事を起こされている可能性があります!」
巽の台詞に藤岡は力なく椅子にもたれかかりため息を吐いた。
「予想通りか…最悪だな。御大が自爆したか?」
「……はい。昨夜襲撃を受けたと。現在被害含め調査中との事でしたが…学生と教職員のテロとは来ていましたが」
苦い顔の巽に藤岡は軽く資料を指で叩く。
「ただまあ、ダンジョン側としては最悪のタイミングだったろうな…」
「と、言いますと?」
「今現在結界が機能回復し、更には結界内はそこそこ浄化機能が働いている。つまり呪詛や呪具に関してはその力を十全には出せない」
「!!」
「処理のハードルが一気に下がる。であれば主力を動かさずとも対処可能だ」
「信者各員に緊急連絡をし、速やかに処理するよう伝えます」
「んっ?信者各員?」
再びどこかへと通話を始めた巽に藤岡は首をかしげたがどうせ岩崎関連だろうとアタリを付け、聞かなかった事にした。
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