651話 信者と、礼拝堂


 1時間ほど経って巽のスマートフォンが振動する。

「はい…ええ、分かりました。A班、B班、G班、K班は処理完了と…ありがとうございます。D班、H班、J班の方は最寄りの応援要請班の元へお願いします」

「巽、どこからだ?」

「事務局からの電話です」

「事務局?」

「ええ。巫女様を崇めるグループ事務所の一つ、神聖職部門です」

 ───そこまで組織だった活動をしていたのか…

 藤岡は口元が引きつるのを必死に自制するのがやっとだった。


 SIDE:友紀


 でーきたできた!

 …作りすぎというのはないとは思うけど、追加あわせて45斤。

 ご飯も8升炊いちゃった…

 マイヤはお仕事お仕事って言ってどこかに行ったし…作る物作ったから暇…いや待てよ?金桃もらったし…ジャム作ってみようかなぁ。

 でも金桃を全部使うのはなぁ…桃と杏と、ミードを少し加えて作ってみよう。

「あらこんな~とっころに金桃が、杏も杏もあったわね~」

 昔動画で見たCMの歌を替え歌しながら下処理をしていく。

 そしてジャムを作り上げ、瓶に入れたあとで封をして、

 うっかり食べられないようにしておかないととんでもない事になりかねない。

「…よし」

 問題なし!ヨシ!

 冷蔵庫にしまって外に出る。

「マイヤ何処だろう…」

『パパ!見て見て!』

 マイヤの声がして声の方を見ると…大聖堂があった。

「えええええええ?」

『パパ見て見て!マイヤ作ったの!』

 ふぅ~ん……つくったんだぁ…

 多分今僕の顔は虚無顔だったと思う。

 まあ、まあまあまあまあ…つくるって言ってたわけだから。うん。

『パパ!パパ!どう?すごい?』

「うん。凄い立派な聖堂だね」

 白亜の大聖堂。しかも洋館よりも大きいんですが?

『ジャンヌお姉さん監修です!』

「監修しちゃいました!あとこれは礼拝堂です!」

 大はしゃぎのマイヤとドヤ顔のジャンヌさん。

 その2人に手を引かれ中へと入る。

 中は会衆席と祭壇。そして何故かその祭壇に3箇所ほど神像を置く台座があった。

「ではここに安置しますね!」

 ジャンヌさんが聖水晶巫女にゃんこフィギュアを中央に安置する。

「3つの台座…これも置く?」

 僕は血石の神像を取り出す。

「うーん…これはうちに飾りたい物ですね」

『精巧で大きめの像だったら…』

 マイヤ?それは本気で勘弁して欲しいんだけど!?

「これを元に更に大きな像を造るとか如何でしょう」

「ホントカンベンしてくださいっ!」

 なんで身内からこんな…

『パパ!神気結晶で作って!』

「神気結晶?……箱が結晶化しているアレの事?」

『うんっ!』

「あのねマイヤ。あれは大切な物だよ?それに僕が作ろうと思って像を造ったわけじゃないし」

『そうなのかぁ…』

 しょぼんとした顔のマイヤとショックを受けた顔のジャンヌさん。

『でも沢山あるよ?』

「そんなに?」

『うん。マイヤ食べきれない!』

「無理して食べないで!?何かあったときのために貯めておかないと!」

『リムネーが沢山食べたら早く大きくなれるかもって』

「どうなのかなぁ…でも無理に食べなくても良いからね?」

 無理に大きくならなくても良いんだから…


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