828話 情報カロリー過多(中濃)


「調査結果が出ました~」

「えっ?」

 廣瀬お姉さんが何言っているのか分からない件について。

「マリアンナさんと合同で再調査したところ、あれはダンジョンの先にあるモノです。いよいよ神になるために動き出したんですかねぇ~」

 センサーで調べても分からなかったのに廣瀬お姉さんが協力しただけで分かるという深刻なバグに…?

「あと、隣国が攻められていたので私の判断で射出転送武装を発射しましたので~」

 あ、その権限も廣瀬さん持ってるんですね…もう廣瀬お姉さん一人がいれば全て解決するんじゃ無いかな?


「…でも世界食べたり神様食べたりしているのに、どうして神になりたがっているって分かるのかなぁ…」

「恐らくは存在証明のためだと思いますよ~?」

 存在証明?

 僕が首をかしげたのを見て廣瀬お姉さんは頷く。

「世界って神々によって二面保証されているんですが、それは分かりますか~?」

「ぜんぜんわかんない」

 多分僕今小学生くらいの顔してる。

「う~ん…これはちょっと全世界の人にも聞いて貰わないと本気で駄目な気がしてきましたよ~?」

 ちょっと困り顔の廣瀬お姉さん。

「少し神様方に聞いて来ますね~」

 そう言ってどこかへと行ってしまった。

 いや自由すぎないかな!?


『報告致します』

 マリアンナさんから射出転送武装砲撃についての報告が来た。

『3%射出で98%が浄化消滅し、相手方の軍事行動は停止および撤退を完了していますが、やはりスキャンの結果と同じようにあれは元人間だと断定致します』

 聞きたくなかった結果に僕は愕然とする。

『結界消失後、およそ17分であの状況になっております。発生源は審議の石板跡地ですが、どうやら消失時の空白帯が侵蝕点となっているようです』

「?防衛拠点地域が空になったから奪われた的な感じですか?」

『……そう考えて貰えば』

 あっ、ちょっと違うんだ。

『次に現れた人間型のモンスターですが、人と周辺物を合成させた結果のようです。

 つまり、あの範囲内にいたほぼ全ての構成物が燃料となり敵となっている状態です。因みにあの異世界化はこれまで収集した情報に前例はありません』

「えっ?ダンジョンが世界や神様方を捕食するときは…」

『……全ダンジョン一斉反転で地表が侵蝕され、星そのものが無くなります』

「その際に神になれる…なんて事は無いんですよね?」

『星の捕食ですから。その際には世界の切り離しは完了しているかと』

「世界の切り離し?」

『はい。神界と世界を切り離すことによって神々の本来いる神界はダンジョン側の手の届きにくい相へと移動しますので。ただ、楔がないので確実に漂流することになりますが…』

 脱出ポットならぬ脱出世界?

 神域自体が神様のプライベート世界だったよね…世界創造と神界創造が主神の権能?うーん?

「もしかして、最悪世界を切り離せば神様は助かり、ダンジョン側のナニカが神にならない?」

『はい。ご存じでは無かったのですか?』

「知らなかったです、ただ、そう思わせるようなことを何度も聞いていたから」

『これまでの流れで想定されることは、世界の楔となる神を喰らい世界を全て食らいつくし疑似世界を創り出して神に擬態し世界を再度生み直すことで強制的に神の条件を満たす…というプロセスです』

「ここまでなった事はあるの?」

『記録では疑似世界創造時に捕食され消滅直前の主神が存在消滅で周辺中域を消滅させました。それ以降世界が完全捕食される前に他世界の神が世界を消滅させる決まりとなっているようです』

 あれ?ということは、今回、神界にまで同時侵蝕行ってない?これ。

 酷く嫌な予感がした。


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