775話 協会本部では…
SIDE:協会本部
磯部は回復していく胃に致命的なダメージを受け、その場に踞った。
「えっ!?いきなりどうしたんですか!?ちょ、パソコンチェックストップ!ボスがさっきより酷い状況に!」
「「………ああ、このメッセージと添付物見たんだな」」
大惨事になっている状況下、長谷川と藤岡は自分たちの元に届いたメッセージと同じ物を見ているのだろうとアタリを付け、憐れみMAXの視線で磯部を見ていた。
「んの野郎…野郎?…いや、うむ…」
無理矢理回復薬を飲まされ、なんとか立ち上がる。
ただ、未だ幻痛がする。
「どうしたんですか突然」
「いや、巫女様からメッセージが来てな…とんでもないモノがあったせいでストレスで胃が死んだだけだ」
「ボス…マジでこのままだと胃が別のナニカになりませんかね?存在進化して」
「なってたまるか…あぁ、まだ胃の辺りがムカムカする…」
「あんパンのせいかな?」
「えっ?」
隊員が「何言ってるんだ?」という怪訝そうな顔で藤岡の方を見る。
「……そうだ。あんパンとコーヒー類を送りつけてきやがった」
「それは官邸で確認した方が良い。そういった類だから…私達には2個だったんだがなぁ」
「まあまあ…そこそこ使用頻度が高いと思ってじゃないの?」
書類を片付け終えた長谷川がそう言いながらやってきた。
「だろうな。今回のように回復薬の代わりにもなりそうな代物だ。間違いなく必要だろう?」
「…確かに。だがなぁ「因みに」」
藤岡が磯部の言葉を遮る。
「見たら分かると思うが、無茶苦茶食べにくい。形とかではなく、絵柄がな…」
「絵柄?」
「全6種、全て絵柄が違うようだが…例えばこれだ」
そう言って見せたのは少し恥ずかしげな顔の巫女にゃんこが絵馬を差し出しており、その絵馬には『しろ』と書かれていた。
「恐らく白あんなんだろうな…ほら見ろ。複数人胸を押さえて呻いている」
「無理ぃぃぃっ!それを食べるなんてとんでもないっ!でも欲しいっ!」
「ハッ、ハッ、ハヒュ…」
「過呼吸起こしてるぞ!袋持ってこい!」
「………ぇえー?」
隊員達の過剰反応にどん引きする磯部だったが、よく考えると確かにこれをそのまま食べるとなると少し罪悪感を感じると思った。
「…まあ、逆さにして食べるさ」
「できるならな」
「一度絵柄を見ちゃうとね…無茶苦茶罪悪感を感じるのよね…」
そう言われ、そして部下達を見た上で官邸で確認をしようと改めて決意する磯部だった。
「とりあえず写真を撮って映像記録を残して食べる程度だな」
「むしろお願いしたらすぐ作ってくれそう」
「…頼んだ方が早いか?」
「たぶん」
「あの~」
隊員の一人が話し合いをしている2人に声を掛ける。
「あっ、はい。なんでしょう」
「ここのパソコンを弄っていたのですよね?」
「はい。そこと、その斜め向かいのパソコンです」
「…確かに何かファイルを移動させた形跡はあるのですが、セキュリティソフトに無効化された挙げ句消去されています」
「えっ?」
「更に言えば、セキュリティを突破してそのファイルを入れたはずなのに、無効化されて消去されているらしいのです…」
「済みません、良く分からないのですが」
「ですよねぇ…ログは存在しているのにそれらの挙動をしたソフトが存在していないという訳の分からない状態なので…」
困惑する長谷川に隊員も困惑した表情でログの抽出を行う。
「……まあ、もしかすると岩崎の関係者が仕組んでいないか確認する必要があるな」
「あー…変な情報を流出させないようにって?もう入られた時点でどうしようもないじゃないの…」
「だよなぁ…所詮は人のセキュリティだしな…」
揃ってため息を吐いた。
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