774話 邪幼女神様とのお別れ
「ただいま戻りました…」
「ん。帰宅」
「2人ともお帰りなさい」
箱庭からフロアへと荷物を移動していた所にハヴァスターイ様とフィラさんが戻って来た。
「何買ってきたんスか?」
「豆菓子と、ポン菓子と、飴玉と…おせんべい!」
「豆菓子とお煎餅は両帝への土産物ッスね?ポン菓子と飴玉…えっ?なんか少なくないッスか?」
「……それらを各1万円分買ったのよ」
「ふぁっ!?一ケタキロ単位どころの話しじゃないッスよね!?」
「オマケも、もらえた!」
ハヴァスターイ様がドヤ顔でタイムさんに報告している。
「一袋1㎏の豆菓子を8袋とオマケ2袋、ポン菓子にも麩菓子がオマケについて…ってなかなか凄いことになっていたわ」
えっ?どゆこと?
「神様だってバレているから感謝の気持ちだと。あと、巫女様に宜しくと」
「あー…うん。そういうことかぁ」
流石は商人。
抜け目ないというか、隙がない。
政治ではないだけに迂遠な手回しではなく馬を射てきたといった感じかな?
「まあ、大半は可愛さにやられてオマケ大量に付けたんだけど」
可愛いには勝てないかぁ…
「試食も沢山しましたし?」
無双状態ですやん。
「フィラも沢山食べた」
ほーん?
「なかなか美味しゅうございました」
フィラさんが恭しく一礼してそういった。
別に良いんだけどね?あとで回った所の詳細教えてくれれば。
「ハヴァ様準備出来『まってー!』…最後の支援物資が届いたみたいッスよ」
タイムの台詞と共に僕の部屋のドアが開き、マイヤが飛びだしてきた。
『クッキー!沢山作って沢山おした!』
「おした?えっ?全部焼きごて押したの」
『うん!はい、どーぞ!』
マイヤはそう言って少し大きめの紙箱を3つハヴァスターイ様に渡した。
「えっ?…暖かい?」
『うん!作りたてだよ。一杯つくったからこれ食べてお仕事がんばって!』
あっ、これ…ハヴァスターイ様の分なんだ…
「あっ、あっ…」
ハヴァスターイ様泣きそうになりながらマイヤからクッキーの入った紙箱を受け取り、プルプル震えている。
「ありがとう」
『ハヴァスターイおねーちゃん、またきてね!』
「!!?んっ!来る!これ食べてお仕事頑張って、来る!」
荷物を収納したハヴァスターイ様がマイヤに抱きついて泣き出してしまった。
「邪神泣かす幼女…いや邪神も幼女…うん。引っ越しの時のエピソードにしか見えないわこれ」
フィラさんなんて事を…
「じゃあ、ハヴァスターイ様、管理世界で適度に頑張ってください。タイムさんも送迎と護衛お願いね」
「ありがとう。お世話になりました…マイヤちゃん、ありがとう」
『うん!ハヴァスターイおねーちゃんまたね!』
「では一気に切り開いて行くッスよ!」
タイムさんが異相に入り異世界転移を始める。
「1つだけ」
異相に半身入れていたハヴァスターイ様がこちらを見る。
「?なんでしょう」
「私達が居なくなって、お兄さんも忙しくなる。そしたら狙われるのは、誰?」
「えっ?僕ですか?」
「……充分過ぎるほど、気を付けて」
そう言い残し、2人は転移した。
「……要は外の神々の引き剥がしに掛かっているという事ですね。この事、報告した方が良いのでは?」
「そうだね。ただ、もしかするとお父さんが直接声を掛けに来る事も考えておかないとね」
『パパはマイヤが守る!』
やる気を見せるマイヤの頭を撫で、僕たちは神域へと向かった。
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