773話 ザルカンの人も笹食え笹!


 箱庭の自宅に完全に根付いている4種の笹。

 その中で都笹の形をしたそれは激辛エナドリ味だ。

 それを1本刈り取る。

 …庭先の狭いエリアに各十数本生えているから問題無い。

 他にも回復薬関連を大量に用意したり…ただ、分からないのが1つ。

「なんで僕の歌や踊りをまとめたDVDとポータブルプレーヤーが必要なんですか?」

「必要!」

 ハヴァスターイ様が滅茶苦茶強調してきた。


「でも大丈夫ッスかねぇ…」

 用意したダンボール箱に物資を詰め込みながらタイムさんが呟いた。

「えっ?どういう事?」

「だってご主人、尊死という概念を世界最初に植え付けた張本人じゃないッスか」

「なんか凄く不名誉なこと言ってない!?」

「不名誉だなんてとんでもないッス!きっと後世では「尊死は救いである」なんて格言が…」

「人間の中でそれがあったら死の冒涜が進んでいると思うんだ…」

 神様方は分体で尊死?しているから実質ノーガード…いや、ミツルギ姉様は本体だったような…まあ、上位存在だから。うん。

 復活できる世界であれば…うーん。どうだろう。

 送る物は全て詰め終わり、都笹に関してはタイムさんに渡した。

「まさか自分も同行するとは思わなかったッス」

「恩返しの一環として良いんじゃない?笹は植えて確認お願いね?あとは…調味料は?」

「布教用として業務用を複数買ったッス!…でも、ご主人のお金が」

「いいのいいの。タイムさんはボディーガード以外にもお使い頼んだりしているからお駄賃まとめ払いって事で」

「…ありがとうございます」

 さてあとは…

「マイヤはちゃんと作れているかなぁ…」

「本当に任せても良かったんスか?」

「白獅子達とよくクッキー作っているらしいし、マイヤが任せてって言ってたから…多分だけど、かなりの量のクッキーが出来上がると思うよ?」

「えっ?」

「だって倉庫の小麦粉とバターがキロ単位で消えていたからね?卵も20個くらいかなぁ…だからだいたい300個くらい?もっと増える可能性もあるけど」

「…あれッスね。全部、ハヴァスターイ様のおやつッスね」

「焼きごて使う気満々だったから逆に食べられないかもよ?」

「あー…可能性アリそうッスね」

「そう言えばハヴァスターイ様は?」

「外に出たッス。フィラにお願いして一緒に行ってもらったッスよ」

「え」

 それ、大丈夫なん?

「問題起きればすぐに転移してくると思うんで大丈夫ッスよ」

 そうかも知れないけど…うーん。

「駄菓子買いに?」

「菓子類全般ッスね。ここである程度力をチャージしているんで暫くはまともに…は、向こうの連中次第ッスね…喧嘩ふっかける相手が目の前にいるからハヴァスターイ様に挑まないとは思うんッスけど」

「適度な娯楽があれば問題起きないと思うんだよなぁ…」

「ここに来て心からそう思うッス。ただ脳筋でもドハマリできる趣味って…」

「農業とか」

「………あーーー…でもあの世界の土地はほぼ植物は育たないッス」

「笹大丈夫かな…」

「これは多分問題無いんじゃないかな、と思うッス」

 すっごい繁殖能力だからねぇ…ちゃんと指定場所のみで育ってくれる子達だけど。


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