306話 4day AM~僕、別世界に行くってよ。
佑那達と神様方へ朝食をお出ししてさてお昼を考えようかと思っていたらゆる姉様からストップがかかった。
「ゆーちゃんは働き過ぎです!だから今日から暫くはちょっと旅行に行って貰います!」
「いや、僕謹慎中…」
「別の世界に旅行に行って貰います!」
僕の反論に素早く被せてきた。
別の世界って、兄さんじゃあるまいし…おいそれと行っちゃいけない気が───
「君の兄さんにお願いして二、三日預かって欲しいと…」
「いやいや兄さん忙しいって話だったと思うんですが!?」
「ゆーちゃんが一緒なら多少捗るらしいよ?」
「うっ…でもご飯は…」
それが一番の懸念事項だ。
「師匠、作り置きがあるじゃないッスか」
「まあ、うん…でも一食分くらいだよね?」
「アレを数食分に分割して、あとは食堂でかさ増しするッス!自分も頑張って作るッス!」
そう言ってくれるのは嬉しいけど…
「…タイムさん、来てくれないの?」
タイムさんをジッと見る。
「ぐっ…上位世界なので少し足手まといになってしまうッス…いざとなれば箱庭経由で行くこともできるッスが、マイヤが実質護衛になると思うッス」
「……わかりました。兄さんの所に行きますけど、佑那に少し説明してきますね」
「ええっ!?結羽人兄さんのところに!?」
「うん…神様方が謹慎中なのに過剰労働過ぎるって」
「いや、何やらかしたの」
「6時から2時まで料理作ったり?」
『………え?』
皆の声が一つになっていた。
「神様方の料理作ったり、佑那達のご飯作ったり、夜食作ったり、おやつ作ったり…」
「……あり得ないほど洗練されていると思ったら、それでですか」
「多少大変だとは思うけど、苦にはなっていないんだけどなぁ」
「兄さん。謹慎してずっと?」
「そうだね。だいたいずっとだよ。あ、でも毎食100人前作っているわけじゃ無いし」
『えっ?』
みんな仲いいなぁ…
「え?待って?神様そんなに居るの?」
「食事の際はだいたい12~14名だよ?でも食べる時は一人5人分とか食べるから」
「まあ、うん。分かる気がする」
「お兄さんのごはん美味しすぎて…」
「今日も凄く食べましたし」
「……美味すぎるというのも、問題なのですね」
「作っているのは、兄さん一人?」
「作れるのは僕くらいかなぁ…手伝って貰ったりはするけど」
「そっか…じゃあ、私が作ってみる?」
「大丈夫?あ、僕居なくても部屋はそのままだから」
「うん。分かったわ」
「あと、神域のキッチンの後ろの廊下に野菜保管庫、穀物保管庫、お肉保管庫があるから皆の分もそこから取って使ってね」
「売る程って言ってたけど、大丈夫なの?」
「あー…一緒に見た方が早いかな」
「そうね。みんなちょっと待っててね」
僕は佑那を連れて神域に入り、保管庫へと案内する。
「…部屋じゃん」
「で、入口に中のものの一覧と数量が…うん。増えてる」
「待って。兄さん待って!お米七品種合計7455俵って!単位俵なの!?」
「だいたい60キロかなぁ…凄い数だよね…一日500俵くらい増えるんだ…」
「兄さんは毎回どれくらい炊いてるの?」
恐る恐るといった感じで佑那が僕に聞いてくる。
「ここのところは4から5升かなぁ…あ、でも佑那は炊飯器は1升炊き一回で良いよ」
「あ、うん…これ無理だ…野菜もお肉も尋常じゃない…待って!翼竜って!?」
「美味しいものはタイムさんが狩ったけど、流石に数量限定だからね?」
「そうじゃなくて!……ああもう頑張るわ!」
「タイムさんと、ウェスタ様が手伝ってくれると思うから」
「分かったわ…やってやるわ!私だって料理頑張っているんだから!」
「うん。頑張ってね。何かあればメッセージを送ってもらえたら」
「了解」
佑那への説明も終わったし、箱庭に行くとしますか…
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