922話 リハーサルでも大ダメージ
「妹さんは大丈夫?」
天之御中主様が少し心配そうな顔で聞いてくるが、
「恐らくアレを見付けた瞬間に全力で殺しに掛かるくらいは大丈夫ですね」
「そっかぁ…それはまた…家族全員から恨まれるなんて相当だね」
「僕はもう関わって欲しくないだけなんですけど…兄さんに育てられたわけですし、学校の重要な行事も兄さん含め周りの人達が助けてくれましたし…
僕が大人になるまでの間、反面教師として影響を与えたかも知れませんけど、共に居らず何も見せてくれなかったモノに対して父と呼ぶのは違うかなぁと。僕の個人的な思いですが」
「あー…まあ、そうなるよねぇ…生んでくれたことに感謝はしていてもその後のマイナスが凄まじすぎるって感じかぁ…確認すればするほど君のお兄さんが強すぎるよ」
天之御中主様が特大のため息を吐いて兄さんを褒めて?くれた。
佑那達も来たのでリハーサルを開始する。
ちゃんと衣装も替えながら曲も着けてフルで。
そしたら課長と巽さん、そして天之御中主様が死にかけた。いや、天之御中主様死ななかった?一瞬光の粒が全身から…
そして次にダメージがあったのは佑那と神兵さん達。
教えてなかったからなぁ…うん。
「……私、今、西脇達に連絡を入れたわ…10リットルの経口補水液とバスタオル4~5枚は最低必要になるって」
「いや、何でそんな反応するんですか…」
「…カヒュ、ハッ、ハッ、ト、トゥ…」
「巽、復帰しないわね…」
「───平和的な兵器が過ぎるよ…私、心からあの子の幸せを願ったあと、あれだもの…ああ、この世界作って良かったと全ての神が言うと思うよ?」
「他所様の神様も言いますからね、それ」
そのせいで僕の箱庭が大変な事になっている訳だし。
「本当に、みんな巫女にゃんこ好きですねぇ…」
「少なくとも私はお前さんを投影しているからだな」
課長が真っ直ぐな目で僕を見て言った。
有り得た可能性、有り得た未来。
「どうなんですかね」
「兄、さん…あれは、反則…」
佑那がヨロヨロと起き上がってきた。
「佑那は本番まで休んだら?足もプルップルしてるし」
「あんな遠距離からの攻撃食らったら誰でもそうなりますよ!?」
「マイヤとリムネーは普通だよ?」
『『ねー』』
2人ともニコニコしながら顔を見合わせて頷く。
もうほんっっと可愛いわうちの娘達。
「それに、色々な意味で心に残るでしょ?」
「心臓が、止まるかと思いました」
「涙が止まりませんでした」
「ああ、私これを見ることができたこと、存在する限り忘れないと思いました」
いやそんなに重いんか…
ジャンヌさん、板額さん、佐那さん…
「はいはい。他の曲全部もっていかれるから最後の最後なんだよ?アンコール要らずでしょ?」
僕の言葉に全員が『確かに』と納得した。マイヤやリムネーですら頷いた。
因みにラヴィお姉さんはダウン中。廣瀬お姉さんは軽傷程度だった。
「2人は知っていたはずなんだけどなぁ…」
「ライブであんな演出は反則だと、思うの…」
「私は分かっていましたけど、右に同じですね~…反則ですよ。涙出ましたもん」
あっ、廣瀬お姉さんでもそうなのか…これ、ちょっと早まった?
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