524話 先手、データ分配 後手、頭うにうに
伊都子さんが来たのでレポートを見せるとザッと流し読みした上で、
「ノートパソコンを持ってきます」
そう言い残し数分後、ノートパソコンとモバイルプリンターを持ってきた。
「いや、セキュリティとか…大丈夫?」
「問題ありません」
そっかー…うん。本人が良いと言うなら。
スロットにマイクロSDカードを入れ、中身を確認する。
幸いウイルス等は無いようだけど…レポートのファイルと数百枚の画像ファイル、そして9つの動画ファイルが入っていた。
画像ファイルには人物名が入っているため、レポートを見ながら確認出来るようになっている。
「画像加工等の可能性を念頭に置いて確認だな…」
伊都子さんからコピーデータの入ったUSBを受け取り、磯部さんが深いため息を吐く。
「私共の方でも調べておきます」
密偵記者(仮)さんも同じUSBを受け取る。
「それと…巫女様、お嬢と一度お会い戴いても?」
「若菜お姉さん?調査組織は大丈夫なんですか?もの凄くお忙しいと…」
一瞬「んっ?」と首をかしげられたけど密偵記者さんは大丈夫と頷く。
「恐らく巫女様にお会い出来るとなればすぐに駆けつけるかと」
「いえ、むしろお嬢はここに待機して戴いて我々に指令を出すだけとか…」
「おお!それはありがたい!」
───なんだろう、若菜お姉さん…もの凄く厳しい上司なのかな?
押し売りレベルでグイグイ来るなぁ…ああ、今のうちに聞いておこう。
「さっきダンジョンが妖怪を取り込んで尖兵としたって話なんですけど…」
密偵記者さん達と伊都子さんがこちらを見る。
「追い立てられてダンジョンに普通に住んでいる妖怪とは別ですか?」
『んんんっ?』
アレ?みんな凄く難しい顔をしたぞぅ!?
「───確かに。化生の者…妖怪と契りを結んだという話しもある以上はダンジョンが作り上げたものかどうかすら分からないと」
伊都子さんが納得する。
分からない点はそこだったりする。
何故なら兄さんから聞いたダンジョンが創り出した妖怪の類いは、性的なものなどは一切無く生命の危険を感じる恐怖や殺戮を好み、あるいは食料としてしか侵入者を見ていないと言っていた。
となれば、怪しまれないレベルでそこそこの利益供与のみでそこまでずっと関係を続けられるのだろうか。
「ゆーちゃん、それ今考えることじゃないよ」
「まあ、そうなんですけどね…気になったので…うーん…ダンジョンと歴史について一度まとめないと混乱してきそう」
「ああ、それ良いかもね。何か言っていることに微妙な齟齬があるから聞き取りしながら年表にしてみるとか良いんじゃないかな」
ゆる姉様待って?
齟齬って何?
僕はゆる姉様を見る。
「齟齬って、どういう事ですか?」
「ん?言葉足らずだとは思うんだけど、かなり昔からダンジョンと戦っていたと言ったり、数十年と言ったり…どの規模の侵攻があって、今回が第何次侵攻なのかを調べた方が良いと思ってね」
考えることが、増えた…だと?
あ~~~~っ!頭がうにうにするぅぅぅっ!
なんか無心でお菓子作りたいっ!
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