34話 TS化した僕は打ち合わせをする

 皆さまから必要なモノを確認し、それらに関する情報を得るために───っと、モードに引っ張られている。危ない危ない。

 必要なもののリストを作ったので巽さんに相談することにした。

 とりあえず電話でアポ取りを…

『姫!ご無事ですか!?』

 …貴女の中の僕は毎度どんな目に遭っているのかな?

[ちょっと聞きたいことがあるので今から巽さんの部屋に行っても良いですか?]

『今すぐ伺います!アレを連れて』

[えっ?いえ、巽さんの部屋に伺いますよ?]

『5分以内に伺います!』

[えっと、では僕の部屋の方に…]

『…………私一人で伺います!』

 ナニカ、 カクゴヲキメタヨウダ。



 巽さんが来るまでの間、執事モード?の詳細を確認しよう。

 髪型とかざっくりとしたモノしか分からなかったし。

 男に戻っているのは分かるけど、僕の顔で女神さま方があんな風になるなんて思えないし…

 姿見前でモードチェンジをする。

 僕とミツルギ姉様を足して…あ、これうちの兄さんに似てるわ。

 少し目つきが鋭いし。んー…でもオールバックじゃなくて少し崩したら…やっぱり兄さんベースだ。少し嬉しいな!

 と、一人でキャッキャしているとインターフォンが鳴った。

 確認。巽さんだ。

[いらっしゃいませ]

 ドアを開けて巽さんを部屋へと案内───

[巽お嬢様?]

「…あ、いえ…」

 如何なされましたか?

「あの、ひめ?」

[───ああ、失礼。このモードでは言葉がアシストされるようなのですよ]

「っっ!その苦笑は、反則です…」

 ぇえー?どうすれば良いのさ…

 とりあえず巽さんを室内へ案内した。



 ガッチガチに固まってしまっている巽さんでは話をし辛いので執事モード?からカジュアルモードに切り替える。

 あの姿に慣れないと兄さんが遊びに来た時凄いことになると思うけどなぁ…

 そんな事を思いながら僕は巽さんにリストを渡した。

[姉様方からこれらが欲しいとのことだったのですが、買えるお店ってありますか?と言うか、近くの店舗に早めに取り寄せられますか?]

「───そうですね。周辺地域から一斉に取り寄せれば大丈夫かと思いますが、ここへの搬入に手間取りそうですね」

[あ、それは大丈夫ですよ。僕が引き取りに行くので]

「プライベートバッグですか?」

[うん。ミツルギ姉様が機能に盛り込んでくれたよ]

「流石ですね…」

[まあ、相手神様ですし]

「いえ、姫への愛が凄いと」

[大切にされているとは思うけどね。ああ、これらを購入する際に結構なお金が掛かると思うんだけど、これをどこかで売れないかな?]

 僕は金板とポーション二本をテーブルの上に置く。

「…こちらは?」

 うわ、巽さんめっちゃ警戒してる。

[せお姉様から資金提供代わりって渡されたんだけど、上級回復ポーションと上級快癒ポーション、あと金板ですね]

「上級回復薬は分かりますが、快癒、ですか」

[せお姉様が言うには回復阻害系の呪いやデバフ攻撃を受けていても回復するって]

「……とんでもない代物ですよね!?」

 ソダネ。

 頷きながら念のために鑑定眼を使ってみる。


【神性上級回復薬】:ポーションタイプ。濃縮5倍のため、薄めてご利用ください。

【神性上級快癒薬】:ポーションタイプ。濃縮5倍のため、薄めてご利用ください。


[これ2つとも濃縮液だーーーーー!!]

「…………えっ?」

 叫ぶ僕と呆然とする巽さん。

 怖いけど、怖いけど金板も鑑定しよう。


【金板】:天平宝字時代に作られた。同種の物が現在国宝となっている。


[───国宝て。数枚あるんですけどね…素手で触っているんですけどね!?]

「姫ならば国宝も直で問題ありません」

 問題大ありだよ!?保存の観点とか含めて!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る