374話 人質と残党
東南アジア系の顔立ちで幼さが残っている。
十代半ば…13~14歳くらいかな?
「アナタが、巫女!」
そう叫ぶと口から何かを吹き出した。
しかしそれは私の手前で弾かれる。
対邪結界は邪なモノ等を受け付けない。
吹き出した物も危険物なのでしょう。
【毒針】:当たると中の小針が飛びだして刺さる仕組み。
呪毒は複数の呪詛と動物毒で構成されており、触れるとこの世を呪いたくなるほどの苦痛が全身を蝕み、半日後に全ての孔から血を流し死に至る。
「───触れると小針が飛び出すタイプの暗器ねぇ…毒は呪毒と」
「!?」
ビクリと反応する少女。
「まあ、効きませんが」
普通に飛び出ている毒カプセルを手に取って小箱に入れる。
「…えっ?なん、で」
「何でも何も、状態異常完治スキルを常に自身に掛けているからですわ」
兄さんが前に教えてくれた。
常に自身の体調を管理することと同時に自身の血肉になるまで聖者系の技は自身に掛け続けろ…と。
だから私は状態異常完治スキルの「慈母の献身」を常時掛け続けている。
それに、空間操作で掴んでいるからそもそも刺さらないし。
「残念でしたわね」
「くっ…兄さん…ごめん…」
抵抗するのを諦めたのか、少女は力を抜いて動かなくなった。
「ふむ…兄さん?カウンターで自爆したヤツか?」
「課長さん。他の方向から攻め入っている可能性もありますわよ?」
「自爆!?」
突然少女が身じろぎをした。
「ええ。カウンター側の襲撃犯が自爆をしたらしいですわ」
「そんな…兄さんは陽動で、私が自爆をって…教官は…」
それぞれにそう言ったんでしょうね…
「まあ、暗殺組織は子どもを使い捨てにすることが多いからな…能力のある子は育て上げて一流の暗殺者にする。それ以外は早めに特攻要員だな」
「───そんな世界が存在するのですね」
「昔で言う三下の鉄砲玉だな」
「一気にスケールが小さくなった気がしますわ!?」
でも言うて自爆テロですよね…こんな代物を使ってまで…
「んんんっ?」
私の鑑定眼が気になる鑑定をした。
【隠れ蓑】レア:天狗の神通力によって人の認識を逸らす代物。
───を、改造し異相に半身をずらし込む力も付与されている。
尚、奪われた天狗の強力な念が宿っているため、天狗族から狙われる。
もの凄い厄アイテムじゃないですかヤダー!
「…これは預かりますわ。持っていると天狗達から狙われるらしいので」
「天狗、だと?」
「ええ。ですので返してこなければならないでしょうね…奪った犯人を捕まえるか、情報を手土産…に…」
追記:履歴を調べた所、神奈川県で拝み屋を生業としていた張家を脅し天狗を騙して隠れ蓑を奪わせた模様。宗教法人千年大宮の暗部による犯行です。
暗部の教官は劉芳という女性なので返しに行く際はそのようにお伝えください。
「…………」
「どうした?」
「ええっと、少々お待ちください。ええ、ええ…心の整理を」
「いや、何があった!?」
「…組織と言うよりも千年大宮の暗部で、トップである教官の名前は劉芳と言う女性らしいですわ」
「は?」
「……鑑定の追記がそう教えてくださいました」
「む、無茶苦茶な…」
課長さんが頭を抱えていますけど、私だって頭を抱えたいですよ!?
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