842話 表と裏
お昼ご飯を作っていると廣瀬さんがやってきた。
「神国の名を使った犯罪に関して半数を解決、資金回収も順調ですよ~」
えっ?何事?
って資金!?
調理の手を止めて廣瀬お姉さんを見る。
「どういう事ですか?」
「自力でどうしようもないところのうち半数がこちらに直接連絡がありまして、「敵対の意思はありませんので相手方の凍結した資金も資産もご自由にどうぞ。モンスター対処で手一杯ですので犯罪者の処理もよろしくお願いします」と泣きついてきたので根こそぎやっちゃいました~」
ドヤ顔で恐ろしい事言っているんですが…やっちゃったの?殺っちゃったの?
「…神国に実働部隊なんてありましたっけ?」
ソッと目を逸らし、作業を再開する。
「教団の暗殺部隊の子達とか、結構いますよ?その子達をバフ特盛りで送り込んで相手を無力化して使えそうな人材はリサイクルですね~」
良かった。人材リサイクルって事は生きてる…多分。
「使えない人材は?」
「捜査当局に送り届けていますよ?殆どが余罪、沢山ありますのでその証拠をつけて渡しちゃってます。これで結構な治安改善が見込めますねぇ」
んんっ?国の治安改善を狙っている?
「廣瀬さん的には自力で再建不可な国は泣きついてくると予想していたんですか?」
「ん~…半々ですねぇ。ただ、犯罪組織の規模が大きな所はほぼ泣きついてくると思っていました。おかげで現時点で188億ドルと32億ユーロ分の儲けですよ~」
「……えっ?」
なんか、天文学的な金額のお話が出たんですが?
「えっと、なんか途轍もない金額が…」
「あっ、これ資金だけですよ~?貴金属類や美術工芸品等は別です~」
「!?」
っぶな!驚きすぎて手元狂うところだった!
「そこそこ武力のある国は今回の件を大義名分にして全力で犯罪組織を潰して資金回収を図ると思いますよ~」
「…それさえしない国は?」
「無能やプライドだけの国は国民に打倒されるだけだと思いますよ~?放置するような所って、政府関係者にもそういった人達が入り込んでいたりしますし」
おぉう…廣瀬お姉さんが怖いんですけど…
「こちらの部隊能力も見せつける事ができましたし、各国の政治能力や潜在敵対国の洗い出しも完了しました。今回は良い事ずくめです~もし国が補填しきれないようであれば神国が5,000万ドルくらいは補填しても良いかも知れませんねぇ」
そっかー、五千万ドル……金額が大きすぎて笑えない…
「あの、廣瀬お姉さん的には今回被害者の金額算出はできているのでしょうか」
「だいたい日本円で3~40億円ですね。ただ、今回被害者詐欺も現れると思うのでこちらからの補填額を多めにしておいても良いと思いまして」
多めって言うか、およそ倍くらいというか…
から揚げを作りながら今後の事を考える。
今度は被害者が欲深いところを見せるかどうなのか…廣瀬お姉さんの天秤がうなりを上げそうだ。
「因みに日本は?」
「非合法で国が手を出し辛い所、特に銀行もグルの所がありましたのでそちらをは神国側で制裁を加えますよ~あちらさんと繋がっている人達もまだいるようですし」
…うん。廣瀬お姉さん。から揚げロックオンが過ぎるんだ。
説明しながらもさっきから揚げたてから揚げから目を離さないのはどうなの?
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