843話 飯テロ擬き配信
から揚げは2個つまみ食いされました。
まあ、許可したからつまみ食いではないんですけどね!
───いや、1個と言ったのにひょいパクひょいパクと2個食べたしなあ…
2個目は揚げたてだったから悶えていたけど。
「神様方と関わっているんだから特殊な配信がしてみたい…と言う事でライブオンリーな特殊配信です」
『えっと、巫女様?』
『そのテーブルの上にあるフルーツや野菜はなんでしょうか』
『料理配信?』
『飯テロにしてはパンチなさ過ぎません?』
『神々の土地で採れるフルーツや野菜って事では?』
『うまそう!』
「勘の良い人がいますね。特殊なところで採れた果物と野菜です。と、そこまではまあ普通の配信ですが、今回はちょっと違います。
廣瀬お姉さんと神様方の協力でリスナーさんの嗅覚と味覚に疑似リンク!このホムンクルスさんが食べたらこのライブの時だけ…
あっ、そっか。眼はカメラだし集音マイクもあるから五感のうち触覚以外を再現出来るのかぁ!凄いや」
『なんかトンデモ技術?神の御技?色々使っててワロタ』
『何かあっても巫女様に被害がいかないようにという鉄の意志を感じる』
『もしや、巫女様にあーんして貰う配信?』
『!!??』
『巫女様とイチャイチャできる配信だとぅ!?』
「まずは…葡萄から。僕が先に一口食べて…あ、これ皮ごとでもとても美味しいのですよ!はい、あーん」
そう言いながらホムンクルスさんの口へと一粒運ぶ。
『 』
『 』
『 』
『 』
『あっ、あっあ…』
『まんまあまあああああい!?』
『 』
『!!?香りも味も洒落にならんぞ!?なにこれうっま!』
『神様良いなぁ…』
「つづいてトマト!ただし、糖度は10度以上ある代物です…うん。美味しい!では、これもあーん」
『ママ僕トマト嫌いだけど食べる!』
『 』
『青臭くない!?甘っ!』
『旨味濃厚で甘い!』
『ちょ、洒落にならない!』
「はい次は桃ですよー瑞々しくて濃厚な甘さ!ちょっと小さく切り分けて…はい、あーん」
『 』
『 』
『ママの唇の艶が…』
『このレベルの桃、どうやったって食べる事できないよ…』
『ママのご飯が食べたい…食べたいよぉ!』
「誰がママですか、誰が。ただ、そう言うと思って、用意しました」
僕は先程作り終わったばかりの物を取り出す。
重箱の蓋を開けると…うなぎの形をした何かだった。
「お肉食べたら駄目な人とかいると思いまして、食に対して変態的な拘りのある日本人江戸の昔には既に豆腐や山芋などで擬きを作りました。
うなぎ擬きとかせたやきなど色々言われていますが…今回は自然薯で作ってみました。タレは多めに掛けてありますが、山椒はちょい少なめで」
『えっ?マジ?それうなぎじゃないの?』
『うわ、裏は海苔だw』
『でもお味は…あれ?タレと山椒の風味が強いと分からない?』
『いやいや巫女様…』
「じゃあ、先に…あーん」
一口大に切り分け、流石にお箸だと溢れそうだったのでスプーンで食べさせる。
『しゅきぃ』
『 』
『 』
『えっ?しっとりふっくらで日本酒の香り!?』
『タレうめぇ!この配信見ながら白米いける!』
『うなぎってこれよりうまいのかい!?』
『擬きどころじゃねぇ…巫女様はすげぇ』
『流石に本物ではないけど、これはこれで好物になる』
『これメインの丼ものがあれば全力で食べる!肉なしで最強だろ!』
あっ、ウェスタ様が来た。
「巫女様、そのレシピ教えてくださいっ!食堂で出したいです!」
なんか土下座せんばかりの勢いでお願いされた。
「あっ、はい。あとで一緒に作りましょうか…」
コメント欄で『東京近郊の人は食堂へ急行せよ!』と書かれて大騒ぎになってしまった。
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