690話 扉の向こうへ(箱庭in)
「「行きます」」
即答だった。超即答だった。
「まあ、入れても無理と判断したら外に出しますが…」
「「えっ!?」」
恐らく耐えられるのは課長くらいだと思いますし。
というわけで…仕事の一環として協会の主力3名をマンションに連れ込んだんですが…まあ、それぞれの自宅でもあるんですけどね!
そして僕の部屋に入り、リビングへ。
扉を開き、3人を見る。
「ようこそ、岩崎家の庭へ」
「「「っっ!!」」」
課長は後ろに下がることなくその光景を見ていたけど、部長と巽さんは後ろに下がり、膝を突いた。
「まずは課長、どうぞ」
僕は課長の手を取り箱庭へと案内する。
「あっ、失礼する」
課長はゆっくりと箱庭へと足を踏み入れる。
「……ああ、そうか。ここが」
そう呟いて課長はゆっくりと目を閉じ、深呼吸した。
『ようこそかちょーさん!』
あっ、マイヤがやってきた。
「えっ!?あ、あっ…お邪魔する」
『うん。かちょーさんは大丈夫!』
マイヤのお墨付きだ!
「大丈夫では無いときも、あるのか?」
『うん。耐えられないときもあるよ』
マイヤはそう言って扉の方を見る。
恐らく部長と巽さんを見ているのだと思うけど…大丈夫かな?
「マイヤから見てあの2人は?」
『今は無理かも』
そっかぁ…無理かぁ…
「まあ、気合いと根性でどうにかなるってレベルじゃないだろうし」
「無理なのか?」
「常人には無理ですねぇ…気合いと根性で死の呪いを弾けるくらいには」
「それは無理だろ」
即答きた。
「───無理、です」
「私も余波で厳しい状態ですね」
巽さんと部長はギブアップしてしまった。
「お二人は下のジムで佑那が僕の幼馴染みを鍛えている最中なのでそちらに参加してください」
「そこに参加すれば…?」
「現在どのレベルかにもよりますが、佑那がOKすれば入るレベルまでなら」
あっ、ちょっと絶望した顔してる…巽さんが。
「うん。頑張ってみる」
「私も、行ってみます」
2人がガッカリしながら僕の部屋から出て行った。
「さて───課長、ちょっと戦闘訓練をして貰います」
「えっ?…無茶では?」
「神兵さーん」
「はいはーい」
木刀を持った神兵さんがニコニコ顔でやってきた。
「私はお姉様方の中で最も若輩者ですので…ちょうど良いかと。それに現代剣術の流れであれば私にも多少は関係していることでしょうし」
そう言いながら神兵さんが課長に木刀を渡す。
「そこは竹刀じゃないんだ」
「一般人であれば竹刀でも良いと思いますが、私達や彼女であれば竹刀も木刀も同じなので」
サラッと怖いこと言ってるよ?
「じゃあ…両者、構え」
2人がサッと構える。
ただ、2人とも構えがコロコロと変わる。
正眼の構えからその両肘を張って突き出すような構えになったりと、3~4種類の構えに変わる。
「始め」
一瞬だった。
「現代は技量はあっても体捌きまでは教えられていませんでしたか」
課長は踏み出し掛けた状態で固まり、神兵さんは課長の横に立ち、柄頭を顎先に触れさせていた。
「───は、っ」
課長は目を見開いたまま何が起きたのかといった顔で呆然としている。
「初見殺しですが、掛かったようですね」
神兵さんはニッコリと微笑むとスッと三歩後ろに下がった。
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