505話 先手、非常(識)事態 後手、わんこソング!?

 佑那を介抱しにきた白城さんとメリアさんが顔を真っ赤にしてその場にへたり込むと言う事故は…事故です。事故。は、あったものの、佑那は復活を遂げた。

「と言うわけで兄さん!その姿を全世界、全次元にお披露目しないと犯罪です!」

「兄さん、こいつ治ってない…また殴って治してほしいよぉ…」

「手刀で首を断とうとするんですよ!?止めて!!」

「佑那がいじめるぅ…」

「………兄さん」

 あ、真面目な顔。

「その姿で、その座り方で、そんな涙目で見られたら襲ってくださいって言っているようなものですからね?」

 ──────もうやだこの子!

 あと、石長比売様?貴女も鼻血を出しながら僕を拝むのやめてもらっても良いですか?キャラ崩壊が一番激しいの、貴女ですよ?



 スタジオに来てしまった…

 いや、佑那だけだったら無視一択だったんだけど、メリアさんと白城さんがものすっっっごくプッシュしていたんだ。

 メリアさんが「タレウサミミは駄目なのか!?」とか血迷った事を呟いていたけど…疲れているのかな…疲れているんだろうなぁ…

 あと、これは佑那を殴らなきゃいけない案件だけど、この耳をお披露目するならこの服で!って、オーバーサイズのTシャツ…大きすぎて鎖骨思い切り見えるレベルのものを渡されたのでそれに着替えた。

 完全に罰ゲームな挙げ句全世界配信とか…僕怒っても良いよね?

 というわけで。スタジオにin

「「……………」」

 あれ?ゆる姉様もせお姉様も僕を見たまま固まってる。

 えっ?コメント欄も動きを止めた?

 え?何?どうしたの?

「「かっ、っっっか~~~~~~~~~~~~~~~~っっ!!」」

 きっと配信を見ていた人達は二柱の神が子ガモが羽ばたき、空を飛ぼうとして落ちていく様を幻想したに違いない。

 飛びかかって来たお二方を空中でキャッチ、そして真下にリリース。

「「ぶべっっ!?」」

「頭冷えましたか?」

「「お鼻痛い…」」

 よし、無事のようだ。


【わんこ属性のワイ、巫女様のためなら死ねる。いや元からだけど】

【ワイ、この興奮をバネに敵倒してくる】

【そう言えば戦闘ニキどこいったんやろ】

【日本にいるんじゃないかな?】

【巫女わんこ!ああっ!鎖骨がおセンシティブです!】

【何処にお布施をしたら良いですか?こんなん見せられたらタダじゃダメでしょ!】

【うさ耳…は、うん。これ以上のセンシティブ案件だね。ゴメン】

【なんでや!タレうさ耳ええやろ!】


 あ、コメント欄復活した。って早い早い!凄いスピードで流れているよ!

「う~…ゆーちゃん酷い…生足スリッパ!?えっ?はいて…ない?」

「短パンだからね!?佑那がこれでって…石長比売様含め全員が満場一致で…」

「………あ、うん。ゴメンね?ゆうくん暗黒面に落ちないで!?」

 みんな僕をなんだと思っているんだろうなぁ…

 ちょっとため息を吐いてしまった。

「そうだ!せっかくその格好だから…はい!」

 満面の笑みでゆる姉様がタブレットを渡してきた。

「?」

 受け取り、見てみる。

「……巫女わんこ応援歌?二番煎じ?あ、タイトルある。HOPE…?」

「酷っ!?同じ時期に作られているんだよ!?」

「あ、そうなんんだ…ご免なさい」

 歌と踊りを確認する。

 確かに簡単そう────じゃなくて!

「っぶな!僕歌わないし踊らないよ!?」

「「えええええええええええっっ!!」」

 煩っ!?

「みんな!こういうときだよ!署名を集めるのは!」

「今が、その時だ!」

「ちょっ!みんな早まらないで!?」

 僕が止める間もなくみんなが動き出したようだ。

 ───このお二方、明日の朝食をタノシミニネ…


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