1024話 巫女の座を降りての初仕事?


「───、──、────」

 みやさんが蕩々と祝詞を奏上する。

 でもさ、大祓詞ベースの神様名指しで天之御中主様に対してお願いしてるぅ…

 あっ、でもその力を神聖水晶のエネルギーから転用って訳に…良いんかいっ!

 粛々と終わらせたみやさんの後ろをみいくんとみゆちゃんが付き従う。

「日の出のお勤めでの祝詞は私で、日の入りのお勤めでの祝詞は伊邪那美だから」

 一緒に見ていた天之御中主様が苦笑しながら教えてくれた。

 …事前に根回し済みですかっ!


 そんな茶番から始まった一日。

 出勤したら…もっと茶番が行われていた。

 協会の前で膝を突き号泣している者やガソリンタンクを持って叫んでいる僧侶がいるんだけど…

「この人達、ずっと居るんですか?」

 巽さんに聞くとどこか疲れた顔で頷かれた。

「この人達、一言でも謝罪を口にしましたか?」

 入口に立っていた重装救命官が首を横に振った。

「であれば何の意味も無いですよ。そもそも僕はもう巫女ではありませんし、神様方の悪感情を招くような事を平然としている方々なんて…沙門が焼身自殺しようとしている時点で焦熱地獄一直線じゃ無いですか。

 更に言えばそれによって目的達成出来ないわけですから更に厳しい沙汰があるでしょうね」

 神威を騒いでいる全員に浴びせる。

 途端に泣き叫んでいた人達はガタガタと震えながらこちらを見る。

「どうしたんですか?トップがやらかしただけであって私達は関係ないと、自分たちは承認ボタンを押していないと、神々に対して罵詈雑言を心の中ですら発したことが無いと…

 そう仰るのですよね?であれば僕はそれが嘘偽りで無いのか閻魔王をお呼びして確認を取るまでです。

 弁明をしそれが正当な申し出であれば閻魔王から神々へ申し入れを行うでしょうが、もし嘘や誇張があった場合は…貴方がたは二度と解除されないと思っていただきたい。私は巫女では無くてもそれくらいの権限を有しているので…」

 更に神威を高める。

 聖の位から仙の位へ、そして神人…昇格神の位まで。

 そこで私のスキル【此処ヲ遊戯場トス】が自動発動しこの世界と切り離された。

「私は巫女に非ず、我が名に於いて召喚す。閻魔王そしてミカエル」

 中位世界主神の権限と関係者権限を使い召喚を行う。

 空間が歪み、それぞれが姿を現す。

「見ておったぞ。沙門でも無い者が沙門を語り人を脅すか…神仏なぞ居らぬと嘲り笑い、都合が悪ければ祈るとは笑止千万也」

「ガブリエルから引き継ぎ審判を司る私が来ましたが…我等が主より「任す」と言付かっておりますので…この様な下衆な工作部隊は全て仏教側へ引き渡しそちらの地獄へ放り込んでいただければと」

「ではこの場に居る悪しき心を持つ者達は魂の消滅以外は死後我等が冥界にて厳しき沙汰あるものと思え!」

 閻魔王の大音声と共に突風が吹き荒れ近くに居た数人が吹き飛ばされた。

「離れた所で隠し撮りのように撮影をしている同国取材班の方々も同じく契約違反によって同罪ですので…覚悟してください」

 ミカエルはそう言って姿を消し、閻魔王もギロリと見渡し、姿を消した。

 力を制御し、息を吐いて僕は建物の中へと入った。


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