562話 喚起と、歓喜

「…はい。と言うわけで」


『だから寝ろと!』

『巫女様社畜過ぎん?』

『貴方だけの体じゃないんですよ!?』

『巫女様、良いから寝ろ!』


 視聴者さん達、一体何時寝てるんだろう、もしくは仕事しているんだろう…

「いやぁ…出勤しようとしたら上司から「明日まで休め」と言われてしまい…暇なので配信しました」


『素直すぎないか?』

『構って巫女様w』

『いやいや、良いから念のために休め!』

『待て待て!巫女様、何か知りたいことがあるのでは?』

『そんな事より休息だろうが!』


「あっ、そうなんです!僕暫く意識なかったせいで社会情勢含め何も分かっていないので…未明の配信で聞いたないよう以外で何かないかなぁ…と」

 僕がそう言うと追い切れないくらいのコメントの滝が流れる。

 それぞれが現状を語ってくれているが、まっっったく読めない。

「あ、それと皆さんがご心配くださっている体の件ですが、意識不明の間救命師団の皆さんが僕の体をバイタルチェック等しながら常に最適化していたようなのでビックリするほど調子良いです」


『そういう問題じゃないんだなぁ』

『失礼。魂にダメージを受けたとの情報でしたが、ご無事ですか?』

『ふぁ!?』

『関係者様!?』

『巫女様マジで無事なふりは止めてよ!?』


「えっと…ぉ?」

 魂にダメージ…多分ミツルギ姉様方経由では無い情報だと思う。

 そこまで詳しく知っているとしたら…

「あははは…兄さんから受けた一撃は大丈夫ですか?」

 とりあえず、そう返してみる。


『思わず膝を着くくらいの凄まじい一撃だったよ。男女人神関係なく情け容赦ないよね、彼は』


 はい確定!

 本部か本邸の方です!

「神様お仕事して下さい…僕は大丈夫ですから…上位世界でもダンジョン騒ぎ大変ですよね…」


『え…っ?』

『神様どころか、上位世界?』

『別の世界の神様どころか、上?』

『大丈夫大丈夫。こちらに攻め込んでこない限り動くなってお願いされているから』

『この方に変な事言わないように!地球なんて一瞬で存在抹消されますから!』

『やだな、そんな事しないよ?アディちゃん』

『!?』

『あかん…なんか、神様の上の人が降臨してるぅ』


 コメント欄が大パニック。

 確実に言えることは、この神様は本部では無く本邸の方だ。

 ただ、興味本位できたのかは分からない。でも、

「一時でも、楽しんで戴ければ幸いです」


『…うん。楽しませてもらうよ』

『さす巫女』

『巫女様ぇ』

『接待配信ですね!』

『巫女様の舞い!?』

『巫女様が歌って踊る!?』

『お前等巫女様に散々休めとか寝ろとか言っていたのにそれか!?』

『スマン…欲望には、勝てなかったよ』

『巫女様無理せず!』


「うーん…踊るのは無理だけど、歌おうかな」

 お試しで、モーツァルトの子守歌を歌ってみちゃおうかな!

 まずは軽く伴奏的な鼻歌を…

「~~~~~~♪」


『まさか、』

『このタイミングでその歌は!』

『ちょ!世界中のみんなが集団スヤァしてしまうっ!』

『巫女様待って!世界中の視聴者が眠っちゃう!』


「~~、Schlafe, mein Prinzchen, schlaf’ ein,」


『アッ───』

『いけませ』

『 』


 コメント欄のコメントがどんどん減っていき、歌い終わることにはコメント欄への書込が無くなってしまった。

「えっと…今のうちにコメント欄を見ておこうかな?」

 僕はみんなが起きるまでコメント欄を軽く確認した。


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