1073話 エーイアの知識年齢と精神年齢


 エーイアは家出(?)を止める模様。

 僕に抱きついている。

 反抗期はマイヤが言っていた黒いヘドロが原因だったのかな?

 本当にそう思う位僕やマイヤ、そしてリムネーにべったりだ。

 マイヤがおねーさんしてる!?かーわーいーいー(錯乱中)


「認知します」

 突然やってきたミツルギ姉様の第一声がこれである。

「ミツルギ姉様、来るなりどうしたんですか?」

「マイヤちゃんに末っ子誕生の報を聞きまして、気になったので来ただけですよ」

「…まあ、ミツルギ姉様とゆる姉様、龍田比売様、石長比売様、そして僕の合作みたいな存在ですが」

 そう言うとちょっと引っかかる部分があるけど…

「つまりは私達の子という事ですね?」

「まあ、そうとも言いますね」

「ママですよー、ママの1人ですよー」

 いや言い方ァ!

『ボクをすてたははさま?』

「間違ってはいないけど…間違ってはいないけど…っ!」

 ああ、ミツルギ姉様に精神的ダメージメッチャ入ってる。

「エーイア?覚えているの?」

『うん。ボクの元の存在が何だったのか、分かる』

「意識が、あったと?」

『気が付いたのはここに来てから目が覚めたときに色んな思い出がわーって入ってきたんだ』

「成る程分からないわね」

「色んな記憶が混ざっていたから混乱していたのかな?」

「えっ?混乱?」

 ミツルギ姉様が訝しげな表情でこちらを見る。

『泣きながらすごい顔でボクにうらみごとを言いながら川に埋められた人とか、■■■を斬ったボクとか、ボクに火を放とうとする人とか───』

 …んんっ?

「なんか、凄くマイナスな物ばかり?まさか…」

 神気の残滓と共に付着していた負の力も一緒に剥がれた?

 いや、それは予想してはいたんだけど、記憶のマイナス感情が凄い…と言うか、

「ミツルギ姉様のものが混ざっていましたね、2番目」

「…ええ。私が弱かったが為に斬るしかなかった。いや、全ての記憶は私達が弱かったために起きた悲劇と言うべきでしょうか」

「少なくとも人柱に関しては違うと思いますけどね」

 ただ、自分は弱いという記憶があるんだろう。

 だから強い=格好良いと言う図式の元、この子は一刻も早く強くならなければならないという強迫観念に囚われていた。

 ───けれども速攻でマイヤの民間療法死亡遊戯によってそのマイナスの感情残滓が始末されてしまい、モヤモヤの感情を抱いたまま独りで過ごす事になり…寂しくなったんだろう。

 小さい子が冒険の旅に出てホームシックになるようなものかな?

 分かんないけど。

「でもまあ、少なくとも箱庭ここに暮らしている龍田比売様や石長比売様、僕はエーイアの親だし、ミツルギ姉様とゆる姉様も親。エーイアはパパ、ママに囲まれて居るんだよ?それにマイヤもリムネーというお姉さんも居る…ほら、独りじゃない」

 僕の言葉にエーイアは抱きついてきてまた泣き始めた。

 うん。一杯泣いて、一杯笑って、悲しい思い出を忘れない程度になるまで強くなろうね。

 それとミツルギ姉様、指をくわえて「いいなー」って顔でこっち見ないでくださいませんか?


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