631話 お宅訪問と、世間話
ミニタルトとクッキーの詰め合わせを小箱に詰めて行く準備完了。
「あ」
小さな小瓶を4つ用意して川の水を入れて封をする。
そして仕様書を2カ国語で記載する。
それらを持ってスタジオに行きシステムを起動させ、コメント欄をチェックする。
「うーん…日本以外にしておこうかな」
コメント欄を閉じ、メールボックスをチェックする。
「この人と、この人と…この人とこの人かな」
適当にピックアップをしてメッセージに小瓶とメモを添付して送りつけた。
久しぶりに実家の方へと足を運ぶ。
───実家大きく立派になってたんだけど…帰り再確認しよう。
実家の前を通り過ぎ、路地を二つ過ぎた所を右へ曲がると少し大きなお屋敷が見えた。
『紅葉』と表札が掲げられている家の前に立ち、インターフォンを押す。
『はい。どちら───友ちゃん!?』
インターフォン越しに驚いたような声がし、それから1分と経たずに玄関が開いて女性が出てきた。
「友ちゃん久しぶりねぇ!」
「あ、はい。ご無沙汰しております」
この方、見た目30代位の女性だけど、実年齢は50代という超絶外見詐欺な女性だったりする。
職業気功師のこの人は初めて会って10年位だけど、全然年を取っているようには思えない。
「美月はいつも通りお部屋なんだけど…」
少し言いにくそうにしているけど、まあ、いつもの事だと頷く。
「美沙さん。分かっていますから」
「香ちゃんと一緒じゃないとお外に出られないなんて…ややこしい体質に生まれたものよねぇ…」
深いため息を吐く美沙さんに苦笑する。
まあ、嘘は吐いていないと思う。
彼女は強力な見鬼の力を先天的に持っていて、無茶苦茶怖がりだった。
そのせいかは分からないけど基本帰宅部の引き籠もりだった。
道を歩けばそういった類を見て悲鳴をあげ、それに気付かれて大変な目にあう…なんて事が日常茶飯事だった。
ただ、僕や香也がいる場合は見ても幽霊などは近付いてこないらしい。
…ただ彼女、20歳過ぎて職を得て特殊職になったものの───悪化した。
部屋や自宅から一切出なくなった。
お母さん…美沙さんは見鬼の力が増したから…なんて思っているみたいだけどそれは違う。
ただのガチ引きこもりなだけだ。
収益は株取引と配信で得ている…らしい。
………なーんか似たような感じの御方を知っているんですよねぇ…うん。
門扉が開かれ中へ入る。
ィ───ン
「…聖域結界ですか」
「やっぱり分かるのね」
「もの凄く強力ですね…って香也の札ですか?」
ただ、そのお札が強力すぎる気がするんだけど…人が書いてもこうはならないよ?
「香ちゃんが持っては来たけど香ちゃんが書いてはいないみたいなのよ」
「仙人や従属神クラスの方が書いている気がします」
しかしそんな凄いものを何処で手に入れているんだろうかと…
「…そんな凄いものを購入していたのね」
「彼のことなので先に代金を受け取っていると思いますよ?」
「それなら良いんだけど…あっゴメンね、中にどうぞどうぞ」
美沙さんは玄関を開けて僕を中に入れてくれた。
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