1006話 友紀、実は結構キレていた?
「───と言うことで全世界各国の標準時間7時にアナウンスがありますので傾聴ですよ!」
『巫女になったらタワマンに住めるとな?』
『あの建物、巫女様の私物やぞ』
『なんと!?…えっ?マジ?』
『1フロア問題物件を協会から押しつけられてそこから雪だるま式に…』
『税金が怖いな!』
『神様の住むマンションだから税取りようが無いッス』
『と言うか冷静に考えな?毎日祈りを籠めながら料理100人分作れる人類居る?』
『……俺、巫女なったら色々得られるとか思ったけど、無理ッスわ』
『時間に忙殺されるwww』
「あー…そこ気付いちゃったかぁ…あの能力も巫女だから得たものではないですし」
「なんなら巫女の能力って何?って話ですもん!義務9割権利………義務10割混じりっけ無しです!」
「1~2%はありますからね!?フレンドリーな神様とお話し出来るとか、ご飯美味しいって言ってもらえるとか」
「不敬が過ぎたら処罰ですし、美味しくても祈りが籠もっていなかったらしょっぱい顔しますよね?」
「そらそうですよ。あっ、そろそろ時間ですね。承認ボタンは慎重に、廣瀬と」
「いつも心に神罰執行手帳を、ジャンヌでした!」
SIDE:日本
午前7時の時報と共に日本国内に鐘の音がなった。
告げられる次代巫女の有無と巫女試験参加条件及び内容。
そして数々の注意事項。
最後に、承認を押すことでそのその者達は自らの所属と名を明かし、如何なる性根で現在の巫女に対し不要と断ずるのかが公表される…そう発せられた。
日本が最初の公表国であったにもかかわらず、30分で承認は既におよそ1万人を越えていた。
政府は即座に神のトラップに注意するようとの異例とも言える声明を発表をする。
邪心の中には欲望も含まれる事、次代巫女が決まらなかった場合は巫女不在となり、その場合先代巫女は誓約通り巫女の行を行わず、それを先代巫女へ強要等すれば誓約通り重いペナルティーを科せられる事等々…メディアを通じて説明を行った。
しかし、2時間後には10万の承認が成され、3時間後には14万人が承認を押していた。
普通に出勤したら課長が深刻な顔で聞いて来た。
「課長、おはようございます。無事に戻ってこれたんですね…良かった」
「腹切られたり色々あったが無事だ。いや、そんな事より岩崎、アレは…大丈夫なのか?突然あんな話が出て…」
「無事ではない気が…まあ、過剰医療部隊ですから大丈夫でしょうけど…今回の件ですか?僕は即承認押しましたけど」
・・・!?
『はぁああっ!!?』
それはブースどころかその向こう側含めた声だった。
そして直後バタバタと他の部署の職員がやって来る。
「えっ!?それで良いの!?」
「どういう事!?ねえ、どういう事なの!?」
「巫女の資格取り上げられるってとんでもない事なんじゃないんですか!?」
職員の皆さんが凄い形相で詰め寄ってくる。
ああ、これみんな勘違いしているんだ…
「えっと、僕は元々聖女職でしたよね?そこから慈母になりました。何処に巫女要素がありますか?元々巫女の資格とか特権とかありませんよ?メッセンジャーとして働きはしましたが、それは神様方がそれをも止めたからであって、今は神様方は自身で発信していますし。
僕はそれ以前…子どもの頃から神様に日々感謝申し上げ、お酒やお水を捧げていただけですし」
僕の言葉に数人は気付いたように頷く。
「でも特権とか…」
「神様と同居しているから得られているというのもありますけど、別になくても良いんですよ?それにちょっと考えてみてください。僕今外交特権持ってます?返上しましたよね?僕午後配信以外で何らかの特権使ったことあります?」
「岩崎、その配信は業務だからな?特権はないぞ?それに金銭等も結局神々がアイテム等を渡して売った費用を宛がった為にゼロだ」
フロア全体がどよめく。
「僕が巫女と言われなくなるわけですから良いかなあと。あとは「巫女なんだから何とかしろ」とは言われなくなりますね。
現在行っているような被災地への救助活動も「巫女だから当然だ」と言っている方々が結構いたので…今後は次の巫女に任せて僕はやりませんと承認が正式に認められたら言うつもりです」
笑顔でそう言ったら全員が固まった。
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