873話 ゆうちゃんキレる!?

「友紀様〜」

「…今度は、何?」

「ヴェっ!?何故そんなに凄く不機嫌なんですっ!?」

「僕にナース服とか、チアガールとか、隙あらばアダルティックな歌を歌わそうとしたり…」

「ああほら泣かないで泣かないで!」

「男だから女だからとか似合う似合わないの前に…僕が着るの嫌なの!いーやーなーの!」

「うひゃあ!?ご乱心!友紀様ご乱心ですっっ!」


 SIDE:藤岡、巽


「───本当に、うちの部隊とは雲泥の差だ」

 メリアが悔しそうに呟く。

 ただ、その間も光の槍は次々と相手の漆黒弾を弾いている。が、相手は砲撃も増え同時対処が難しくなっていた。

「最大火力をあの漆黒の壁に叩きつけるのは」

「敵に情報を与えるだけだ。あの空間は入った全てを情報にしてしまうんだ。たとえ光属性でもな…こちらの最大火力をぶち当てた日には解析されて面倒なことになる。あれに対して多少対抗できるのが神気だ」

「では神が直接攻撃をすれば…」

「取り込まれて解析される。そうやって数え切れないほどの世界や神々を飲み込んできたアレらはいよいよ自分らが神となり世界をつくろうとしているんだ」

 巽はジッとメリアを見つめる。

「そんなに見つめられてもな…惚れるなよ?」

「それはありえません。何故それを知っているのですか?」

「ん?簡単なことだ。それは私や白城が神々の残滓だからだ」

 巽は目を見開き固まった。

「か、み…?」

「ああ。神の生贄の家系…巽裏家と言った方が良いか?あいにくとだが数代前に結ばされた絶対服従の契約は数日前にそっちの神の上司が強制破棄したようだぞ。よかったな?

「……は、い…ほんっ、本当に…良かったです」

 ダンっと膝を突き頽れた巽は掠れた声でそう答えた。

「ちなみにそのことをボスは一切知らない。知っているのは私と白城、それと隠れんぼ大好き神魔「タイムッスよ!」とあっちの影に隠れている元リーリートゥ、後はボスの自称母だな」

「あっ、死んだ」

「…安心しろ。めちゃくちゃ説教受けるくらいだろうよ。全部調べ上げられているわけだからお前さんの一族は絶対的な被害者だということは分かっている…んっ?」

 メリアが言葉を止め、険しい表情で藤岡達を見つめ声を張り上げた。

「おい神魔。至急白城のところに行って追加人員4〜5人連れてきてくれ。全速前進!奴らの後ろに着けろ!重装部隊、着いたら全力で防御しろ!ここが最後の見せ場だ。さっきみたいなみっともない姿を晒すなよ!?」

 車が急発進し、藤岡達の元へと急行する。

 車両本来の防御力と迎撃によって致命傷はないものの車両にダメージが入る。

 そんな中藤岡が杖剣を取り出し漆黒の壁に突き立て、一気に飛び退いた。

「車の中に入れ!防衛陣出力最大!重装救命官も出し惜しみするな!来るぞ!」

 メリアの大音声と共に漆黒の壁が刺さった杖剣を中心に亀裂が走る。

「マジか、本当にあの空間を破壊できるというのか!」

「連れて来たッスよ!白城氏もついでに!」

「…ゲートに亀裂!?大聖盾ルフ・リベイ、反射結界!神域及び神界に緊急通達!事象部分崩壊が起きる!各員死ぬ気で防御体勢を!」

「ほら、それで頑張れ」

「何を…これなら、対極結界!次元封鎖結界!」

 白城が立て続けに広域結界を展開し押さえ込もうとした直後、

 漆黒が白に変わった。


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