10話 TS化した僕は同居する!?

 指紋採取はかなり簡単ダンジョン遺物で全解決。昔じゃ考えらんないネ!

 と言う事でさっさと指紋採取完了後にマジックバッグへ一気に収納して終了。

 僅か数分で荷物の持ち出しは完了!

 あとは掃除だけど、

「掃除に関しては私が清掃業者に依頼しますのでご心配なく」

 巽さんに視線で察せられてしまった。

「姫。急ぎましょう」

[姫違う。そうですね。数年間お世話になりました]

 僕は部屋に感謝と一礼をして扉を閉めた。



 車に乗って息を吐く。

[───こんな風に、ここを出るとは思いませんでした]

「岩崎様……」

 車を走らせ始めた巽さんが少し辛そうに声を掛けてきた。

[ああ、いえ。これって急に大ブレイクした芸能人が凸されまくって追われるように引っ越しをするシチュエーションかなぁ、と]

 …あれ?何故そこで更に辛そうな顔を?

[確かに5年くらいかな?住んではいましたけど、そこまで深い愛着はないですよ!?]

「岩崎様。何も仰らずとも結構です」

 うわぁ…「私は分かってますから」状態だコレ。

 こういう時はちょっとアンニュイな感じで窓の外見ておけば大体問題無い!

 …あれ?コレって、認めた事になる?

 何となく車内が妙な雰囲気のまま新居のマンションに着いた。

 そして、新居のマンションはすごく…大きいです…

 いやこれ億ションとか言うヤツじゃね!?分かんないけど!

 コンシェルジュさんもいるし!え?僕この建物に侵入したら撃たれない!?

「岩崎様?」

[巽さんはどうしてそんなに平然と!?]

「?いえ、私の部屋は岩崎様の下の階ですので」

[まさか近くて安心って、協会からとかではなく、巽さんの住まいから近くてって事だった!?]

「協会は課長以外信用できない状態ですよ?」

[そこまで!?あと、ここってお家賃凄そうなんですけど、巽さんって高給取り?]

「いえ。実家が一部屋買い上げた程度です。女性の一人暮らしは何かと危険だからと」

 おぜうさまやったわこの方…

[しかしそうなると巽さんと同じマンションかぁ…]

「っ!?これは広い意味で同棲!?いや同居!?さあ、時間もありません。急ぎましょう!!」

[いやその考えはおかしいと思うんだけど!?]

 僕はなんか興奮している巽さんの後ろにピッタリとくっついてマンションへと歩を進めた。



 エレベーター指定の階に止まり、ゆっくりと扉が開く。

 そこはマンションのフロアにもかかわらず、ホテルのフロアのような雰囲気だった。

 僕は心の中で「場違い場違い」と念じながら巽さんの後をピッタリくっついていく。

 巽さんが本体です。僕は付属品に付いているパーツ片です!という心持ちだけど…アレ?

「まずこちらが問題の部屋です。異界化と言うわけではないのですが、それに近い状況になっており一日一度確認をし、週報という形式で提出して欲しいとの事です」

[んー…んんんっ?]

「岩崎様?」

[───分かんない。保留!]

「宜しいでしょうか。次に岩崎様の新居となる部屋がこちらになります」

 うん。場違い感半端ない。泣きたい。

「こちらのカードキーをかざして戴ければロックが解除されます」

 巽さんが僕の泣き言をスルーして説明しながら玄関を開けてくれた。

 室内に入って、僕心から思った事があるんだ。

 あのアパートから持ってきた物って、全てが場違いすぎて辛い。

 しかも最新家電まで設置されているんですけど!

「岩崎様。とりあえ設置場所を決めてしまいましょう」

[設置するの!?]

「中身だけを入れ替えるにしても出す必要はあるかと」

 ………ソダネ。


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