741話 miko-miko.α


 いつもより少し早く朝ご飯を用意して厚焼き卵を追加。

 そして神域マンションの部屋に突撃。

「おはよーございます!」

 すぐに3女神に抱きつかれました。


 せお姉様とゆる姉様、そしてミツルギ姉様。

「御免ねぇ…僕が我が侭すぎて」

「ゆーちゃんが無事なら良い!」

「そうだよ!無理しすぎて神に近付くってとんでもない事だよ!?」

「…今回はどちらかというとゆーくんの無自覚無茶のせいが大半だと思うのよね」

 ミツルギ姉様がボソリという。

 ざっつらいとでございます。

 あと、お馬鹿さん達の無茶苦茶な言動による精神負担。

「僕もちょっとは怒った方が良いことを学習しました」

 これまではアレ言霊の問題もあったためにあまり感情は乗せていなかったし、普通に喋ることが出来るようになってもどこかセーブしていた。

 しかし、人間らしく喜怒哀楽を前面に出そう。

 僕はそう決めた。

「朝食の時間なので…」

 そう言うと全員離れた。

「今日はご飯と大根のお味噌汁、厚焼き卵、大根と大根葉の和え物ですよー」

 そう言いながらテーブルに並べていく。

「厚焼き卵は特製卵なので気をしっかり保って下さいねー」

 配膳を終え、皆と軽いハグをしてその場を後にした。



「岩崎!?大丈夫か!?」

「おはようございます。多分大丈夫だと思います」

 駆け寄ってきた課長にそう返し、席に着く。

「あれ?課長、巽さんは?」

「昨日少し騒ぎがあってな…その処理に駆り出されたから今日は休みだ」

 結界が破られたとかそういったトラブル!?

 僕は慌てて課長に聞こうとしたが、

「お前さんを国のトップにと訳の分からないデモを行っていた馬鹿共に対して神が注意を入れた。まあ、死者はゼロだが、汚物吐瀉物地獄となってな…不浄地域にはまたロクなものが来ないという事でこちらからは巽含め4名派遣した」

「うわぁ…」

「……流石に千人規模の不浄地帯は結界が地域解除を行ったらしく四人は夜半過ぎまで低級霊や死霊、死体喰らいの類と戦い続けたようだ」

「うわぁ…うわぁ…」

 えっ?待って?神って…ハヴァスターイ様の事だよね?

 昨日アメ横にって…まさか…

「タイムさんタイムさん」

「どうかしたッスか?」

 タイムさんが影から現れる。

「ハヴァスターイ様、やらかしたの?」

「やらかしたというか、害されそうになったので大人の姿になったって感じッスよ?あと、師匠をどうにか出来ると高をくくった馬鹿共を論破しただけらしいッス」

 そっかー…犠牲者ゼロだし、邪幼女神ハヴァスターイ様が自分で考えて動いてくれたってことが嬉しい。

「出る時は許可をもらったらしいッスよ?」

「………だったらOK。今後はタイムさんも付き添いでお願いね?」

「ラジャーッス…」

 ホッとした顔で影へ潜るタイムさんに苦笑する。

「私も午後から休む。部長が午前だけ休むらしいからな」

「僕も午後は配信がありますね…半ば強制的に1曲やりましたから」

 ピクリと課長が反応した。

「む?因みにどんな姿で?」

「姿、ですか?…えっと、この姿のままセーラー服と、聖女モードで修道服ですね」

「女装男子と清楚修道女が歌って踊る…だそうだぞ皆の衆!」

 課長の大音声に周辺に居た全員が動き出した。

 他の課に声掛けをしに行ったり、電話を始めたんだけど…

 ちょっと前から思っていましたが、特務課ってこんなに自由すぎましたっけ?

 そう思わずには居られなかった。


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