740話 巫女巫女ナイトフィーバー!


 さて問題です。

 どうして僕は、踊っているのでしょうか。

 しかもセーラー服着て。


 ──1時間前──


「やはりあの巫女にゃんこ奉納歌は段階を経て配信されるべきだと残念ながら会議で決定しました」

 ジャンヌさんが心底残念そうにそう言ってきた。

 いつ、どんなメンバーで、どういった会議なのかを聞きたい気がするけど…多分聞いたら僕が卒倒しそうだからやっぱいいや。

「うん。アレは身内だけで十分だよ?」

「ですので!」

「頑固美少女ジャンヌさんだなぁ」

「で・す・の・で!」

「で?」

「ポップなダンスを要望します!」

 要望されてもねぇ…

「会議で色々案が出まして、上位がポップな曲でのセーラー服ダンスという事になりました!」

 満面の笑顔で拍手するジャンヌさん。

「ほんとうに、どんなメンバーでどんな会議内容だったのさ…」

 ガチ泣きしたくなってきた。


 で、現在。

 セーラー服のスカート、生地が厚いからそうそう浮かないと思っていたけど、ダンスだと、ちょっと危険だった!

「ターンしてしゃがむ、ターンしてしゃがむ…」

「ふとももっ!ふとももっっ!」

 あの、ジャンヌさん?そのカメラワークだと僕の太股辺りを狙っていますよね?

 ミニスカートではないので見えないと思いますが…あと、メリアさん?暴走が過ぎますよ?大暴走ですよ?

 バチコーン!

 ウィンクして両手でハートマークを作る。

 そしてターンしてカメラを見てウインクしながら人差し指を自身の唇に当てる。

 そこで聖女モードに変身して同じダンスをもうワンセット。

 ただ、聖女モードの場合は修道服。

 ……こっちの方が安心できるなぁ…表面の表情は余所行きスマイルだけど心はそんな感じだった。

 歌と踊りが終わり、一息吐く。

「3~40分で歌詞とダンスを記憶して10分で調整。恐ろしいな」

 あっ、メリアさんが正気に戻った。

「集中次第だと思いますよ?」

「まあ、それはそうだろうが…しかし、うん。かぁいかった…」

 ああ、駄目だ。まだ正気じゃねぇ。

「これも、破壊力凄いですね…編集はカメラアングルの美味しい所を切り分ける位ですか」

「あの悩殺ポーズは絶対必要だ」

「アレで性癖、ねじ曲げてしまいませんかね?」

「安心しろ。視聴者は既に折れねじ曲がっている」

 何の話をしているのかなあ!?


「編集をして皆で見た後で明日…今日の配信時に公開しますね!お疲れ様でした!」

 ジャンヌさんが去っていく。

「…うん。眠ろう…睡眠超大事。心を休めたり頭の情報整理の時間大事」

 そう呟きながらお布団へ。

 ラヴィ姉さんとリムネー、マイヤが車座で女子会していた。

「あっ、撮影終わった?どうだった?」

 姉さんが興味津々な感じで聞いてきた。

「編集して皆で見た後次の配信時に流すって」

「くっ…見たい!でも一緒に寝るのが優先!」

 何葛藤しているんだろう…

「僕はもう寝るから…隅っこで良い?」

『パパは真ん中!』

「あっ、はい」

 マイヤに注意されて僕は真ん中のお布団に寝転がる。

「おやすみなさい」

「『『おやすみなさい』』」

 姉さんと娘達の優しい声に嬉しくなりながら僕は目を閉じた。

 みんなが幸せでいられますようにと願いながら。


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