802話 雑談配信で泣き言


「あの、兄さん…私のお夕飯だけ違うのですが…」

「うん。特別だよ?」

「うっ、ウワァ!ウレシイナァァ!」

「三分粥は腐ったりしないように熱々だから注意して食べてね?」

 ああ、佑那が感動して泣いてるよ。


「───ということがあったのですよ…育て方を間違えたのかなぁ…そんな変なモノ見せるのは阿呆1号と2号位だと思うんだけど」


『巫女様が暗黒面に落ちかけてるぅ』

『サラッと異世界の神に攫われかけたと言っているのに普通な巫女様w』

『いや、ユグドラシル様とかも異世界の神だぞ?平気平気』

『皆に守られている巫女様だから!』

『阿呆1号と2号って…巫女様が…イイ』

『おい変なの涌いたぞ』

『巫女様に罵って欲しい勢だろ?偶に涌くぞ?』

『偶に(宝くじ300円当たりくらいの割合)』

『この配信どれだけの人間?が見ていると?』

『そのおよそ1割が罵って欲しい勢という』


「正直個人の自由だからそこら辺に対していう事はないんだけど、身内にその目を向けるのはいけないよ。佑那を一生懸命育ててくれた兄さんに失礼だと思うんだ。

 好きという感情とかなら僕は何も言わないけど、それを他の人に強要したりするのは…しかも実在している家族を題材にだよ?」


『ああ、巫女様ご立腹』

『しかもちょっと涙目』

『巫女様落ち着いて…』


「だって…僕が実家を出たのってそういった話を聞いた佑那が僕に「友紀兄さんはもう帰ってこないでください!」って言った結果だし…だから佑那にそう思われるのだけは…結羽人兄さんを変な目で見ないであげて…」

 あうっ、何言ってるのか分からなくなってきた…佑那に向かって言わなきゃいけないことのハズなのに…

「に゛い゛ざん゛っ!」

 扉が開き、佑那が泣きながら入ってきた。

「ごめんなざいっ!御免なさいいぃぃぃっっ!」

 泣きながら僕に抱きつく。

 そしてそのまま泣く佑那に僕も涙がこみ上げてきた。

 けど、

【兄者:いや、別に俺はどう思われても構わんし、性別云々関係なく好きなら好きで良いんじゃないか?ただし佑那、お前は合意無しで友紀を襲いかねないので駄目だ】


 なんか、メッセージが、来た。


「ちょ!?待って待って!?兄さんからメッセージ来たんだけど!配信見てる!?なんで!?」

 慌てる僕に泣き顔のまま僕を見る佑那。

「ああもうっ!はい。これで顔拭って!」

 ハンカチを佑那に手渡す。

「───あっ、兄さんの匂い…」

 此奴…


『妹ブレねぇw』

『本気で兄さん大好きっ子なんだな』

『腐の住人(兄弟限定)って事?』

『いや待て、その前に兄者が配信見ている事に驚け』

『我々は、監視されている!?』

『兄者に罵られるのでも一向に構わん!』

『罵る(物理)』

『巫女様なんで慌ててたの?』


「…ありがとうございます。あとで新しい物をお渡ししますので」

「あとで浄化したあとで綺麗に洗うから洗濯篭に入れておいてね?」

「順番が逆では!?…それで、どうして慌てたのですか?」

 いくら取り繕ってももう残念な子であることは全世界に知れ渡ってるぞ?

「ああ、今兄さんは別の世界に向かっているハズなんだけど…時間の誤差が起きているハズなんだ」

「時差的なモノですか?」

「ではなく、ここの世界の1日があちらの世界の数時間…的な」

「えっ!?」

「だから本来なら兄さんとここの時間的遅延が起きているハズなんだけど」

「まあ、兄さんですし、時空間概念を超越していてもおかしくないと思ってしまうのは私だけでしょうか」

「………どうしよう、反論出来ないや」


『兄者に不可能って言葉を教えてあげて?』

『もう兄者一人で良いんじゃないかな?』

『世の中には7人の兄者がいてだな…』

『何その終末世界のその先』


 兄さんが7人居る世界って…絶対平和だと思うんだ。


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