148話 奇襲~初手から終わっている件について
「いやぁ…いい戦いだった」
「終盤のオクラホマ・ミキサーは圧巻ね」
「………」
1時間後、伊邪那美お母さんとせお姉様がズタボロな大山祇神様を引き摺って戻ってきた。
[いや、本当にピクリとも動かないんだけど…]
「あとでお酒1杯呑ませてから神社に放ってくるから」
せお姉様ェ…
「さあ、僕達も…アレ?」
[はい、お母さん]
「ありがとう」
焼きおにぎりとお茶を差し出し、伊邪那美お母さんが幸せそうに食べる。
「あのー…宴会は?」
[みんな仕事が忙しいって食べて呑んですぐに…]
「うあーーーーー!?」
[はい。せお姉様]
同じように焼きおにぎりとお茶を出す。
「うぅ…ありがとう」
[あと、お酒はほとんど大物主神様が持っていきましたよ?]
「えええっ!?」
[いや、何故そんなに驚くんですか?本神のお金ですよ?]
───ちなみに、差額があったらもらって良いとのお言葉を戴いたので、差額は皆さんのお酒代になる予定です。
「お酒もっと呑みたかった…」
[いや、ありますよね!?]
「他神のお金で呑むお酒が美味しい!」
せお姉様…何処まで駄目神様になっちゃうのだろうか…いや、疲れているからかな?
「あ、そうだ。面白いことが分かったんだけど。聞く?」
[面白いことですか?]
「うん。僕らの不手際…というわけじゃないけど、この国に関してはここ数百年くらい外的要因で神託がまともに通じていなかったみたいなんだ」
[んっ?]
僕普通に聞こえていましたよね?
「君はガチでコッチ寄りだからね?君の常識さんは多分直葬されて久しいからね?」
[兄さんと僕、選ぶならどちらが一般人ですか?]
「君だね」
[僕と妹、選ぶならどちらが一般人ですか?]
「…君だね」
なんでそんな苦虫を噛み潰したような顔するのかなぁ?
[じゃあ僕は一般人です!]
「うわぁ、可愛い笑顔。でもそれは君達家族の中での話で、君達の常識は世界の非常識って可能性だってあるんだからね?」
[えっ?…人に迷惑を掛けず、法を遵守し、常に感謝を忘れないって、常識ですよね?]
「あー…うん。常識だね」
[駄目、なんですか?]
「それはとても立派なことだよ?そうじゃなくて───まあ、うん。いいや!君は正しい!」
[良かった…]
「で、君は完全別カウントとして、他の人達。特にそういった神職者などに関しては個々の素質以外に技能や術理や施設などを使って僕達の声を聞くんだけど…術理と施設に思いっきり妨害工作がされていたんだ」
[えっ?それに誰も気付いていないのはおかしいと思うんですけど?]
「そこなんだよねぇ…恐らくだけど、はじめは数人程度がノイズ混じりで、徐々に増やしていくという手段を執り、最後に施設に仕掛ける。こうすれば術理と施設を破壊せずに乗っ取り、更には神託を受けられなくなった人はその存在を疑いはじめ…結果今の状態になると」
[でも、施設って…神社ですか?]
「もしかすると神社もかも知れないなぁ…建て直しとかの時に。中務省の宣託の間も酷かったし…まあ、他の神々のアクセスが集中しすぎてブロック突破されてて笑ったけど」
せお姉様は焼きおにぎりを食べきってお茶を啜る。
[もしかして、これから攻撃が来るのでしょうか…]
「来るだろうねぇ…まあ、来ると分かっている奇襲って最悪の結果しか生まないけどね!」
[でも、]
「うん?」
[その妨害していた敵って、ダンジョンなんでしょうか…]
「………あー、違う可能性もあるけど、恐らく他の国でも邪魔されているなら確定だね」
そう、ですねぇ…
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