745話 俺ら、祠さ行くだ
「甘いのにアルコール感は確りしているんスね…これは、ハマるッス」
エセカルーアミルクを美味しそうに飲むタイムさん。
「私のも中毒になりそうよ」
エナドリジンを半分まで飲んで軽く掲げてみせるフィラさん。
「「カンパーイ」」
タイムさんとフィラさんが楽しそうに話し合う。
「……」
その間に挟まれて気まずそうにしているジャンヌさん。
何で気まずそうなんですかね?
SIDE:世界
「Whoo!!」
スマートフォンで動画を見ていた男達は突如叫びだすと、武器やスコップを手に前線へと飛び出していった。
短い時間だけでもと前線から後退させていた男達がハイテンションで前線に戻って来たことで何が起きているのかと驚いたものの、男達が今まで苦労していたグールやゴブリンを吹き飛ばしたり退治していく姿に士気が一気に上がった。
「おいおい何があった!?」
たった数人で数十人分の殲滅を行い後方部隊が慌ててバリケードを設置する。
「巫女様の配信があったんですよ!巫女様が歌って踊って「キューンッ」ってハートマーク作ってくれたんだ!俺らは巫女様に応えるためにもやらなきゃならねぇ!」
そう奮起しなおも先へと走り出しそうな勢いの男達を宥めながら部隊長は座り込んでいる前線部隊員に少し休むように伝える。
「もう少ししたら精霊を祀っていた祠だ。ケイト、そこまで行けば精霊は結界の延長が出来ると言っていたんだな?」
部隊長がそう声を掛けると精霊術師のケイトが小さく頷いた。
と、
「Whoo!!」
少し休むように指示していた兵達がハイテンションでそれぞれ武器を手にバリケードを乗り越えて先へ進んでいった。
「待て待て待て!お前達あんなに疲れていたのにどうした!?いやなんでそんなにテンションが高い!?あと今まで一撃でグール屠れなかったのにどうしてどいつもこいつも一撃で屠れる!?」
部隊長の悲鳴のような叫びに一人が振り返りサムズアップしながら笑顔で答える。
「それは巫女様の「キューンッ」で俺らのてぇてぇサーキットが開いたからですよ!部隊長方も見たら分かる!アレは…跳ぶ!」
「おいリチャード!早く終わらせて配信見返さねぇと!」
「ああ!今行く!…では、失礼します!」
リチャードと呼ばれた男は敬礼するとスコップを片手に突撃していった。
「俺ァここでの勝利を巫女様に伝えるぜ!」
「バッカ俺が先だよ!」
「一瞬でコメントは押し流されるんだから皆で送れば良いんだよ!」
等と言い合いながらスコップで、ロングソードで、スレッジハンマー で相手を殲滅していく。
数分前までの悲愴な顔で銃を使っていた姿は既になく、ガンギマリな目でエモノを振り回して殲滅する部隊員達に部隊長は呆然と立ち尽くしていた。
「……アイツは何を言っているんだ?いや、巫女様が無茶苦茶なのは分かっているが、あそこまで可笑しくは…おかしくは……なったな。過去にも」
───その後1時間掛からずに当初数日掛かりとされていた祠までのバリケード等をやってのけた男達は意気揚々とコメント欄にお礼とその事を書き込んでいたのは別のお話…
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