322話 ???~追加労働?いえ、序でに作っているだけです。

 麦茶大好評。

 あと、もち麦団子と香煎粉の組み合わせと麦茶というムギムギトライアングルフォーメーションは非常に危険でした。

 いや、麦茶くらい思いつくと思っていたのに…何故だろう。

『麦茶美味しいね!』

「そうだね。ちょっと暑い時には良いよね」

『うんっ!作り方覚えたから箱庭で作る!』

「火の扱いには注意…って直接温度を上げるやり方だから問題無いか」

『うんっ!火と包丁はパパと一緒の時だけ!』

「そうだねぇ」

「くぅっ!?なんだ?この胸を締め付けられるような気持ちは…これが神への信仰という…?」

 側で胸を押さえている女性軍人さん、顔が上気していて色っぽいんですが…何かあったんですか?

 いや、違う。周辺の人達全員僕とマイヤをフニャフニャな顔で見てる?

『パパ、マイヤ普通のみたらし団子が食べたい!』

「じゃあ、お手伝いしてくれる?」

『うんっ!皆にもちょっとだけ食べて貰いたいな』

「そうだねぇ…こっちの神様に稲も勧めなきゃね」

『やった!』



「戻った…が、ああ。高濃度の癒し空間に長時間居たせいか」

 兄さん達が戻って来たけど、現状を見て何か察したみたいだ。

「………えっ?何事ですか?」

「フィウヴェ!?おい!?」

 呆然とするお姉さんと仲間に駆け寄る軍人さん。

「兄さん、どうだったの?」

「ああ、挨拶とこれまでの非礼を詫びて貰った。今後は呪人族に関しては柱に攻撃する事もなければ木人族を攻撃する事もない」

「良かった…」

「で、ここまで酷い状況は?」

「マイヤとお話をしながらお団子を作って渡したら皆フニャフニャになった」

「あー…うん。高濃度どころか超高濃度だったわけだ」

 何が!?

「で、麦茶と香煎粉のための団子とは餅粉でか?」

「うん。1キロあった餅粉が無くなっちゃった」

「…いやそれは頑張りすぎだろ…休めと」

「兄さんの分は残してあるよ?」

 お団子にほんの少しだけレクムシュケの煮汁を掛けて薄いみたらし団子にして香煎粉をたっぷりまぶしたお団子を差し出す。

「───一緒に食べようか」

「えっ?いいの?」

「どうせお前の事だからマイヤに食べさせて自分は食べていない…だろ?」

「ぁう…実は、後で兄さんと食べようと思ってたんだけど、皆が結構食べちゃったから…」

「ちょうど四個あるから、半分こだ」

「!うん!」

「ふぎゅぅ!?」

「おい!?フィウヴェ!?」

「ああ…麗しき兄弟愛……」

「ちょ!?補佐官殿っ!?」

「!?今神からの神託が!───これが、これが尊いと言う…」

「補佐官どの!?補佐官どの!?」

 いや、お姉さん…その感じ、僕と兄さんが商店街歩いていた時のお姉さん達の挙動と一緒なんですけど…

「………ヨーフェ様」

「気を取り戻したか!どうした?」

「私、こちらの神様に仕えたいのですが…」

「正気か!?」

「!?フィウヴェ!そうなさい!」

「補佐官殿!?正気ですかぁ!?」

「「正気です!」」

 兄さんにあーんして貰いながら三人のやりとりを眺める。

「…あれだ。酔っ払いが酔っ払ってないって言っている状態だよね、アレ」

「……いや、少なくともあの二人は俺のよく知る友紀への狂信者の目だ」

「よく知ってるの!?」

「ああ。お前の学生時代の平穏はほぼその狂信者達に守られていたからな?」

「なにそれ怖い!」


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