37話 TS化した僕は母(仮)ができる?
「私の事は今後お母さんと呼んで良いのですよ?」
うわぁ…しくじったぁ…
なんか凄い勢いでスイッチ入ってるぅ…
僕は失敗したなぁと思いながらお膳をテーブルの上に置いた。
~数分前~
「で、入れ込む理由も分からないのだけど」
ミツルギ姉様とは違ったクールビューティな女神は少し不機嫌そうにせお姉様を見る。
[あの、お茶とお菓子をどうぞ…]
「…黄泉竈食ひって、知ってる?」
[黄泉の国の竈のものを食べることであれば…]
「それが意味をなすモノは?」
[えっと、私見としては黄泉や冥界は世界環境が違う異界なため、ほとんど全ての世界で共通する生命維持のためのその世界の物を使った食事という儀式をする事によってそこでの存在を安定させる…でしょうか]
「何この子欲しいんだけど」
「あげないよ!?」
「うちの元旦那ですら理解してなかったのよ!?」
「元って言っちゃったよこの人…」
[えっと、話の流れからすると、伊邪那美様ですよね…]
無茶苦茶若くて綺麗なんですが…
「まあ、当たり前分かるわよね。この国の人間の生死確認と言うことで呼ばれたのよ」
[なんか済みません…せお姉様の暴走止めきれずに…]
「お茶がおいしいなぁ…」
「ゆーくんの事をもっと詳しく知りたかったから」
止める気の全くない二神が居るから…
「振り回されているわねぇ」
ニヤニヤしながら言われてもっ!
「あ」
[せお姉様?]
「伊邪那美様にも温かいご飯食べさせたい!だってここは完全グレーゾーンな神域だし!」
[グレーゾーンって言った!?この神様ここをグレーゾーンって!]
「まあ、グレーゾーンではなくセーフティーゾーンのつもりだったのですが…」
「グレーゾーンっちゃグレーゾーンなんだよねぇ…神域という名称で固定しているから邪神でも冥界神でもなんでもOKな場所にしているし」
ミツルギ姉様もゆる姉様も…
[…あれ?邪神も来る…?]
「来るよ」
[僕の心労がマッハ…]
「はっ、早めに人員呼び寄せるから!」
[来てくれると、良いなァ…ああ、ご飯用意してきます]
「えっ?」
[少々お待ちください。すぐ温められますので]
「えっ!?簡単な物作るんじゃなくて!?もしかして」
僕はご飯とお茶漬けでも十分満足できるし、おいしいものを出したいよね!
手早く和風煮込みハンバーグと卵スープにご飯を用意して───
折角初めての神様にお出しするのだから巫女服で…って事でモードチェンジ。
あ
神楽舞モードなってる!ちょ、せめて男性で…
あわててモード変更の選択を間違えた結果、巫女服を着た1m強位の少年がキッチンにへたり込む結果になってしまった。
うあ…失敗したぁ…
僕はすぐに戻ろうかと思ったけど、これはある種の親孝行なのではと考えてみる。
この国を作った神様で、国生みの母、地母神だ。
僕の職業『慈母』とは違うのだよ『慈母』とは!
色々大変な目に遭った伊邪那美様に少しでも感謝の気持ちを込めて穢れの少ないであろうこの姿で食物をお出ししよう。
僕はそう決めてお膳を手にキッチンを出た。
「キュッ!?」
僕の姿を見たミツルギ姉様が卒倒した。
いや、なんで!?と言いたいところだけど、僕はお膳を運ぶので精一杯だから他のお姉様方に任せる!
「だっ、大丈夫!?私が運ぼうか!?」
[せお姉様はミツルギ姉様をお願いしますっ]
ちょっとフラフラとしながらも何とか伊邪那美様の元へと運ぶ。
「……その姿は?」
伊邪那美様はジッと僕を見つめている。
[えっと、感謝の気持ちを込めて少しでも穢れの少ないであろうこの姿で、運ぼうかと…]
おーもーいー!腕プルプルしてる!
[あと、この国に生まれたモノ全ての母とも言えるかなぁという事で安直ですが親孝行の意味も───]
ピシャーンッッ
そんな効果音が鳴るくらいの表情で伊邪那美様が固まった。
あ、これアカンヤツぅ…
───そして冒頭に戻る───
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます