36話 TS化した僕は料理を頑張る

 さて、お夕飯の支度をしよう。

 神域に戻って復活していた姉様方にお夕飯のリクエストを聞くと

「ハンバーグ!」

「和食であれば何でも良い」

「ゆーくんの手料理ならなんでも絶品ですから」

 持って来たエプロンを着ける。

 うーん…和風煮込みハンバーグかなぁ…ちょっと時間掛かるけど。

 うん。時短は早く食べさせたい愛情で、手間もおいしく食べて欲しいっていう愛情の一種だし!

 ───どうしてそこで三神とも悶えてるんですか?

「奥さんっ!奥さんっ!」

「人妻…若妻…良い!」

「ダキシメタイダキシメタイ…」

 うわぁ…放っておいてハンバーグを作ろう。



 タネの中にみじん切りにした椎茸を少々いれてしっかりと混ぜ込んだあと形成をして焼く。

 両面をある程度焼いて焼き色がついたところでみりん、醤油、だし汁を入れて軽く煮込む。

 そして更にキノコを入れてまた暫く煮込んで数分経ったらハンバーグの上下を入れ替えて同じ程度の時間煮込む。

 竹串を刺して火通りが良いか確認して問題が無さそうだったのでハンバーグを盛り付ける。

 そして煮汁に水溶き片栗粉を混ぜ込み、とろみがついたところでそれぞれのハンバーグにそのあんを掛けてできあがり。

 ついでに大根おろしを少しハンバーグの上に置こう。

 横で作っていた卵スープを器に注ぎ、ご飯もお茶碗によそって三神にだした。

[はい、どうぞ召し上がr「「「いただきます!」」」]

 れ、を言い終わる前に三神とももの凄い勢いで食べ始めた。



「ああ、愛情をたっぷり感じた味だった」

[お粗末様でした]

「とてもおいしかった!」

「二日に一回は食べたい!」

[二日に一回はツライですよ…飽きますし]

 しょぼんとするせお姉様を宥め、食後のお酒を出す。

[明日、僕の家族を呼びましたので少し遅くなるかも知れません]

「遅くなる?まあ、大丈夫だけど、何かあったの?」

 不思議そうに聞くゆる姉様に苦笑しながら、

[僕がこの姿になってしまったので、家族には報告しないと…まあ、妹と兄の三人兄妹なのですが]

 そう言ったらせお姉様が少し不思議そうな顔をした。

「両親、生きてるよね?」

「両方とも数年前にいなくなりましたね。以降兄が僕達を育ててきました」

「えっ!?ゆーくんを見捨てた!?」

「懲罰案件よね?」

[ストップストップ!いきなり話を飛躍させないでもらってもいいですか!?]

「だって子どもを見捨てたんでしょ!?」

[よく分かりませんが、僕には兄と妹がいますし、新しく姉ができたので…]

「ゆーくん…」

 何故か目を潤ませているミツルギ姉様に対し、せお姉様が首をかしげる。

「んー…ちょっとまっててね?」

 そう言ってその場から姿を消し、

「連れてきた!」

 そう言って一人の女性を引っ張ってきた。

 うわぁ、美人さんだ。

「この子の両親なんだけど!」

「んー…、あぁ、母親は海外ね。父親がちょっと…淀みの中にいるけど、私の所じゃないわ」

「そっかー…生きているのに妙だと思ったけど、これは縁切り案件だねぇ。二人ともカルマ値エグいことになっているし」

[えっ、僕の両親のカルマ値エグすぎ!?]

「人間に入れ込むなんて珍しい…を通り越して初めてよね?」

「僕の新しい妹だよ!」

「…………は?」

 その女神様?は『何言ってるのコイツ』という顔でせお姉様を見たあと僕を見た。

 その反応、正しいと思います。

 あ、お客様がいらしたのだからお茶とお菓子を用意しないと…

 僕は慌てて用意のためにキッチンへと向かった。


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