546話 おやつと、スイーツテロ

 リムネーの小さな大冒険。はじめてのお外はちょっと微妙な終わり方だった。

 今度埋め合わせをしよう…

 さて、2人を箱庭に帰して僕は今、スタジオに居ます。

 正確にはスタジオの隣、落ち込んでいるゆる姉様を宥め賺し、第二スタジオを前回同様キッチンスタジオへ変更して貰いました。

 さあ、現在2時過ぎ…おやつを、作ります!


『突然配信始めたと思ったら…』

『エプロン姿の巫女様!素敵!』

『男性姿のはずなのに男性に見えない!』

『いつもの事では?』

『お姉さんもお手伝いするからこっち来てー!』


 配信開始20秒後にはこの状態である。

 数千人が既にリアルタイムで見ているという恐怖。

「えっと、おやつの時間になりそうなので、ドーナッツつくるよ!」

 そう宣言すると、コメント欄が爆速で流れる。

 通常のリングドーナッツに、オールドファッション、ボールドーナッツ、シナモンドーナッツ、チョコサンドドーナッツにチョコ掛け等々…あとサーターアンダギー。

 ああ、ついでにパン生地ドーナッツも作ったよ!

「ひたすら無言で作り続け…いや、説明はしていたかな。多分!」


『巫女様自問自答していました!』

『でも分かりやすい説明でした!』

『巫女様の一人Q&Aで分からない所が分かりました!』

『独り言の中で出ていたバナナプリンやフライパンビスコッティも希望!』

『いや待て。この尋常じゃない量を短時間で作ったことに対する突っ込みは!?』

『いや、いつもの事だろ…』

『巫女様だぞ?神様方は食い尽くし系だぞ?3~40個なんてすぐだぞ?』

『神様方、エンゲル係数もゴッドクラスなんだよ…分かれよ』


 コメント欄が辛辣だけど、間違って無いっ!

「では、今日の配信はこれで終了です」

 一礼して配信を終える。

 さて、鉄火場に行こうか…さっき邪幼女神様が見に来ていたから絶対にみんなに言ってスタンバイしてるに違いないんだ…



 はい。皆さん殺気立っております。

 そのアクティブさを他の事に使って欲しいくらいのレベルで激しい奪い合いをしております。

 まあ、良いんですけど、良いんですけど!神様方のために作ったので。

 ただね?餓えているわけでもないのにそんなお行儀の悪い食べ方は止めて欲しいのですよ…邪幼女神様は相変わらずですけど。タイムさんがアシストしているから余裕あるんだなぁ…反則じゃん!

 およそ20分ほどで完全に食べ尽くされてしまいました。

「ゆーくん。ありがとう。寝かされた後の記憶は全くないけど、起きたら凄く調子が良いのよ」

 ミツルギ姉様が機嫌良くそう言ってきた。

 えっ?…あれ、もしかして…死んで…?

 せお姉様を見る。

 なんか重々しく頷かれた。

 安らかに、逝っちゃったのかぁ…そっかぁ…

「依頼も完遂したと聞いたから、後はこちらで調整していくけど…何かあるかな?」

「あ、山とか、滝とか川とか…小さな湖とかがあれば良いかな、と」

「世界樹も植えるからそこら辺はバッチリだよ」

「世界樹?…ゆる姉様の分身的なですか?」

「いやいや流石にそれは…この世界レベルだからそんなに大きくならないから」

 ということは、箱庭のあの木ですら小さな方という事か…

 うん。僕しーらない。


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