910話 父親の影を警戒する


 何事もなく数日が過ぎ…ライブまであと2日となりました。

 僕は歌とダンスを完成させていますし、追加で歌う歌も用意しています。

 佑那だけがアワアワしていますが…是非も無いよネ!

 あっ、何事もないわけではありませんでした!

 とうとうアレ父親がマンションの周辺を彷徨き始めたそうです。


「佑那は見ていないの?」

「見たら右側頭部を打ち上げて衛星軌道からレーザーを打ち込んで貰う予定です」

 殺意の高い回答ありがとう!

 ゲートでの移動しかしていないから僕は出会さないけど、これはかなりの問題案件だと思う。

 恐らくマンションに入る方法を考えているのか、それとも…

「あっ、自宅はどうなっているの?」

「進入形跡は無いし、妖精含めみんな誰も来ていないって」

 そっかぁ…だとすれば狙いはやっぱりこのマンション。

 ダンジョンを奪取しようとしている?

 この神域ダンジョンを。

「アディエーナ様とゆる姉様に緊急連絡しないと…」

「兄さん?」

「アレのしようとしていることが分かった!神域ダンジョンの奪取だよ!神国への道と神域ダンジョン内にいる神様方をまとめて呑み込もうとしている!」

「いやでも神様方が制御しているんでしょ?」

 確かにしているし、ここへの扉と神国への扉の2つが楔となっている。

 けど、もしアレがダンジョンマスターになっていたら?

「アレがマンション周辺をウロウロしているのは多分、誰が管理権限を持っているのか探っているんだと思う」

 下手をすると既にマンション内を自由に闊歩している可能性まである。

「ゆる姉様に聞かないと…」

 僕は急いで神域へと向かった。



「えっ?外からのスキャン?無理無理。だってリニューアルした際に多層構造にしたもん」

 ゆる姉様から予想外の回答を貰った。

「確かにこちらで管理権限奪ってダンジョンの性質を利用しているけど、権限を有する神は7名、更にダンジョン内部に神域を複数設置して再拡張。

 こんな事しているからもし呑み込もうと無理矢理何かしたら…最奥に設置している12種の封印が“その先”へ向かって牙を剥いてダンジョンはお終い。神域だけが残るようになっているよ。

 崩壊してもそれぞれの空間はパージされるし、更には楔で固定されているんだよ?あと、ダンジョンをベースに活用しているのはこの部屋だけ。残りは全て書き換え済みなのさ」

 ドヤ顔のゆる姉様。

「頑張ったのは?」

「私とアディとみっちゃん!」

「あっ、そこはユグドラシル様単独ではないんですね」

「私一人でやったら色々保たないからね!?あ、でも…」

 ゆる姉様が真顔になる。

「普通にマンション内には進入されている可能性はあるよ。都市結界無視して入れるのならここの1階くらいなら普通に入れるでしょ」

「この階は?」

「入れて1階フロアまで。それ以外は誘拐騒ぎ以降ゆーちゃんの神聖水晶をマイヤちゃんから数個貰って強化したから無理!」

 マイヤ…自分のおやつ認識であんまりホイホイ上げないでよ…!

あ、でもその時点だから神聖水晶なのか。いや、良かった…のかな?


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