911話 ライブ前と言われても…ねぇ?
侵入されていた場合の対処をお願いして僕は出勤する。
「兄さん!?ライブまで日数ないんですが!?」
出勤しようとしたら佑那に止められた。
「うん。明後日だね」
「練習は!?」
「帰ってきてから通しでやって、明日箱庭でリハーサルするくらいかなぁ」
「それだけ!?」
「?それ以上やる必要あるの?」
「…………ガチ天才はこれだから」
なんか佑那に文句言われたんだけど!?
「おはようございます」
「おは…えっ?いっちゃん、ライブ前なのになんで出勤してるの!?」
「えっ?駄目なんですか?」
「ライブでミスは許されないのよ!?しかも全世界同時配信で…」
そんな事言われても…
西脇さんがオロオロしているのを見て僕も困惑する。
「いや、いつも通りやるだけなので。日常を続けていた方が落ち着きますし」
「大丈夫なの?歌詞やダンス忘れない?」
「これまでそう言った経験は無いですねぇ…まあ、大観衆の中で歌って踊るって事自体初めてですが」
最初で最後ですね。これも経験経験…
「おはよう岩崎。ライブ翌日含めて4日間休んでも良いんだぞ?」
「課長、おはようございます。特に問題はありませんので。今日と明日、午後佑那のために軽く通しでダンスをやる程度です」
「……無茶振りをした自覚はあるから強くは言えないが、大丈夫か?チケットはとうの昔に完売しているんだが」
課長も心配そうな顔で僕を見ている。
「僕は問題ありませんよ。そもそも課長と巽さんへのご褒美ですし、2人に対して歌って踊るので」
カウント的には何万人居ようとも対象は2人。
なので緊張は無い。
それを聞いた西脇さんが「確かに…」と納得してくれた。
「でもそれを言い切って平常心でいられるのが凄いわ…私関係ないのにドキドキしてるもの」
「課長、巽さんはどちらに?」
「今日から会場の打ち合わせとセッティングだ」
「えー?」
「今日明日は飛びまわっているだろうな…」
なんか、大事過ぎません?
「───岩崎。多分だが、そんな大事過ぎないか?とか思っているだろ」
「はい」
「「はい…って…」」
「僕としては些事なので。ただ2人のために歌い踊るだけ…そう考えているから緊張も何もないんです。配信もカメラさんに向かって…そう思えば緊張しませんし」
「その割には配信でコメントに対して返すよな」
「アレもこちらとしてはその時その人に対してですね」
「全体を見ているわけではないのね…そりゃあ強いわ」
「岩崎が問題無いというのなら良いんだが…」
あ、一応言っておこう。
「歌う予定の曲数増やしてますので」
「それを早く言ってくれないか!?何曲だ!?」
「巫女にゃんこ奉納歌の結末をラストに入れての全16曲です」
「巫女にゃんこの結末!?…いけない、これは拡散させないと…」
「これは…死人が出るかも知れんな。各自2リットルの飲み物とタオルは持参するように再度忠告のアナウンスをしなければ」
西脇さんと課長が戦闘時のような真剣な表情で話し合っている。
そしてそれは周りにも広がっていて……あの、お仕事しませんか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます