600話 配信の可否と、配信許可と
なんだか僕が悪いみたいな雰囲気の中、全員が一切れを細かく三等分にしてそのまま、カレー粉付けて、お好み…とそれぞれ楽しんでもらった。
「…これが、禁断の…」
「禁断も何もあと数時間後には食べるからね?」
箱庭メンバーと静留さん用に取り置きはしておく。
時刻はそろそろ15時になろうとしていた。
「兄さん。習っている所を生配信しませんか?」
スタジオの隣でスタンバイしていたら佑那がとんでもない事を言ってきた。
「何を言い出すのかなぁ?しませんよ」
静留さんも迷惑に思うだろうし。
「静留さんに迷惑が掛かる可能性は考えた?下手をすると狙われるんだよ?」
「狙われる?何で?」
「今、協会とか僕の周辺に襲撃がね…」
「襲撃!?何があったの!?」
血相を変え慌てる佑那を宥め、今日起きたことを話す。
「兄さんが狙われた可能性もあるって程度よね?でも、関係者は狙われる可能性かぁ…3人位派遣周辺巡回させた方が良いかなぁ」
「佑那。相手は民間人を盾に使ったりするような奴等だよ?」
「は?何それ悪の組織の怪人か何か?」
「怪人ではなくて、挑発するように民間人を襲ったらしい。今本部は人員を周辺支部に派遣しているから圧倒的に足りないし、探索者の人達のレベルがねぇ…」
「あー……うん」
渋い顔の佑那に僕は小さくため息を吐く。
倒せないとしてもある程度ダメージを与えて撤退させるレベルにはなって欲しいんだけどなぁ…
「でも兄さん、倒せないしダメージもあまり与えられない…方が良いかもしれない」
「何で?」
「妖怪によっては執念深いのが居るからちょっとしたダメージでも「貴様のその顔、覚えたぞ!」って粘着復讐に来るかもだし」
その発想はなかった…
「友紀くん、佑那ちゃん」
静留さんがやってきた。
「静留さん、突然申し訳ありません」
「大丈夫大丈夫。お父さんにお仕事回したし、理由言ったら「そっちの方が最優先だ」って」
「「いやそれはおかしい」」
思わず佑那と一緒に真顔で突っ込んでしまった。
「それとね!お父さんから「巫女にゃんこなら雅楽でしょうが!」っていくつか楽器持ってきたから!」
「ほら!やっぱり配信しよう!?」
「あ、私はヴァイオリンとピアノしか分からないからね!?」
いや、そう言う訳ではなくて…
「佑那さーん?」
「だって!静留さんなら大丈夫だよ!?」
いや何を根拠に…
「なになに?何の話?」
「静留さんを配信に出すと狙われるんじゃないかって兄さんが」
「今更だよ?」
今更て…ぇえー?
「それに私は結羽人さん関係者から監視されているから大丈夫だよ」
「監視?」
「うん。女性の式神さんが私の護衛としているから。今は別の仕事で居ないけど、マンション出る前には戻ってくるって」
「何その自由な式神…」
「佑那の神兵さん達もあまり人のこと言えないしねぇ…」
「兄さんもね?」
「だから大丈夫!」
まあ、本人が良いというなら…うん。
「荷物は何処に置いたら良いかな?」
「あっ佑那、静留さんを隣のスタジオに案内して。僕ちょっと設定弄るから」
「了解!」
どうやら今日の配信も、少し騒がしくなりそうです…
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