599話 夕食準備と、悪魔の罠
志堂菓子店へ行き大量の和菓子とオマケをいただいたのでお返しとして色々な穀物を渡すと、奥からお爺さんがでてきた。
「俺らァお代は戴いてるんだ。こんなの貰ったらバチが当たらァ」
「その神様からの褒美ですから遠慮なくもらってください。お米も一俵あるのでご近所にでもどうぞ。あと日本の神様と共にエジプトの神様方もこちらの和菓子を食べて大変感動しておりました。想いが籠もっていると」
そう言うとお爺さんは「そうか」と言って奥へと引っ込んでしまった。
「お爺さんは泣く所を人に見られたくないんですよ」
お婆さんはそう言って笑う。本当に、凄い人達だ。
しっかりと押しつけてきて帰宅。巽さんはすぐに協会ではなく現場へと向かった。
箱庭に入ると佑那がリムネーと勉強をしていた。
「兄さんおかえりー」
『お父様お帰りなさいませ』
「2人ともただ今。佑那、静留さんに連絡できる?」
「えっ?何かあったの?」
「練習用のヴァイオリンが送られてきたから…静留さんに少し習おう───」
「あ、もしもし?今電話大丈夫ですか?いえ、友紀兄さんがヴァイオリンをちょっと手ほどきして欲しいと…はい。あ、じゃあおやつと夕飯で。分かりました3時に。はいはい待ってまーす」
僕の言葉を全て待たずに全部取り付けてしまったでござる。
「で、兄さん。ヴァイオリンは?」
「えっと、これだけど…」
僕はハードケースごと佑那に渡すと、暫く確認した後険しい顔をした。
「悪くはないんだけど…音の違いを知らないといけないから…あー多分静留さんが持ってくるだろうし、良いかな」
???
でもまあ、3時に来るというなら…先に神様方の料理を作らなきゃ!
昨日のうちに下準備していた物をあるから一気に作れば良いだけなんですけど…量がね?
中辛カレー90人分、極辛カレー70人分、ひつまぶし飯櫃5つ分、ハンバーグ100個
…うん。枚、と言うほど平たくはない。
あとは、筑前煮を寸胴一杯、枝豆とトウモロコシの混ぜご飯を飯櫃2つ分、鰤の照り味噌50人分…そして豚汁寸胴一杯と念のための白米飯櫃3つ分だ。
下準備のままな物。それはカツ120枚と天ぷら各種。
さあ!じゃんじゃん揚げるよ!鍋三つ使って揚げまくっちゃうよ!
~~巫女様揚げ物全力投球中~~
揚げ料理は油の温度と火加減、そして食材の水分のバランスが重要なのさ…
「兄さん…その音と香りはイジメですか?イジメですよね?」
「んっ?」
ふと気付くと佑那とマイヤ、リムネー、ラヴィお姉さん石長比売様が集まっていた。
え?何事?
『ジュウジュウパチパチ美味しそうなの!』
『佑那さんの言うとおりその音は反則です…』
『あの音と、その分厚いカツは…反則だと思うの』
『………』
あの、石長比売様?無言の圧は止めて下さいませんか?
「じゃあ、カツ1枚を等分に切るからみんなで味見してみて?」
僕は仕方なくカツを二切れだけ残し、残りを6等分に切り分ける。
そして小皿に一切れずつ置いて…その隣に某食品企業の赤い缶のカレー粉をほんの少し盛る。
「さあ、どうぞ」
満面の笑みで出す僕。
佑那が泣きそうな顔で「鬼か!」と叫ぶ。
みんな困惑した顔で佑那と僕を見る。
「このカツは絶対美味しい!でも!このカレー粉付けたら…ご飯が…ううううっ!」
葛藤はいいから早くお食べ?
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