967話 違和感って些細なことが多いよね?
「そうはならんやろ」
いやマジで。
「いやぁ…いつかしでかすと思っていたよ」
思ってたんだ…いやそれ誰に対して!?少なくともこれの事じゃないですよね!?
「だって、人なんて基本自分本位で契約のあら探しして都合の良いようにしようとしているし」
「神様方も同じですよね?」
「…強欲でいつも盛りのついたサルのように女性を攫ったり…」
「各地域の主神クラスにブーメラン刺さっていますよ?実は人では無く一部の神様のこと言ってません?」
「……!人は神々の鏡なんだね!?」
「今更お気付きですか…そんなネタはいいとしてこれは…」
マンションに突入しようとしたまま固まっている上半身裸の5人のならず者を見て唸った。
「叩いても叩いても涌いて出てくるんだよね…うちの神様が最強ざます集団」
「今回は大天使様が無茶苦茶謝ってましたね…」
「力を削いでいる原因がそういった全方位に喧嘩を売っている人達という悲しい事情がね…」
ならず者達は固まった状態のまま警備室へと連れて行かれた。
そこで色々情報を抜き取られてお外へポイされたわけだけど…
「でも妙でしたね」
「上半身裸な5人組が狂ったように突撃したのを妙と言わずになんというの?」
「それもそうですけど、都合の悪い部分だけ記憶が抜け落ちていたのがです」
都内に住む人達でごく普通の一般人だったのだ。
ただ、何故そんな愚行に走ったのかという記憶も記録もなく、ただ突然神の導きのままにこちらを責めるような行動に出ていた。
直前に何があったのかも全く分からないと調書にはそう記されていた。
「ああ、確かに。住んでいた所含め神気を感じたりはしていたはずなのに…あとゆーちゃんの力を何度か受けているみたいなのになぁ」
何かがすっぽり抜け落ちているような、記憶操作がされているのは確定している。
でも、この都市結界の中でそんな事がそう簡単に出来るかな?
やるにしても杜撰すぎない?しかも低レベル。
あの人達はダンジョンに入った記録すら無かったし。
「…野良ダンジョンに入ったとかですかね?」
「この近くにもうないよ?」
ゆる姉様が首をかしげる。
「空にあったダンジョンは既に全滅しているし…あと、あるとすれば海底ダンジョンかなぁ…それ以外は神々が入口をチェックしているし」
「…ゆる姉様、境界ダンジョンって、ご存じですか?」
確かあの人達の家の近くに神隠しの家と言われたお化け屋敷があった気が…ダンジョンだったとかいう噂も十年前にはあったらしいけど…
いや実際兄さんのノートには都市伝説的なダンジョンの話があった。
「えっ?なにそれ」
………えっ?
「いやあの、境界の話ですけど…天でも地でもない所や少し特殊な方法でしか入れない場所ですけど…まさか」
「そういう場所あるの!?」
ゆる姉様初耳っぽい?あれ?いや待て落ち着け僕。
境界ダンジョンは知る人ぞ知ると言うレベルのものだし、せお姉様なら…!
【現在境界ダンジョンって、どうなっていますか?】
そーしん
【せお:え?境界は神の管轄じゃないし問題なしって聞いたよ。多分消滅してるよ】
多分て…これ、絶対に拙い事になっていませんかね!?
【せお:そもそも境界自体妖精や仙人の休憩所みたいな所だし、今はほぼ無いよ?】
【そういった所にもダンジョンはあったそうですよ?兄さん情報ですが】
【せお:都市結界は無効だし、ダンジョン内部まではどうしようもないよ!?】
oh…
【マズいじゃないですか】
【せお:ちょっと管轄外だけど、ある程度詳しい方に聞いてみる!】
そう言われると辛いか…こちらも誰かに調べてもらいに行かないと…
「ゆーちゃん、そんなに境界ダンジョンってあるの?」
「僕が知る限り、いえ、協会で噂として把握している所は都内で3ヶ所です。ただ、本当に実態が分からないので…」
「実態が分からないって…」
「メッセージのやりとりをしていた中でせお姉様が境界を主に妖精や仙人の休憩所って言っていたのですが、怪異として特殊条件で現れる妖怪達の住処も境界なんです」
「でもそれって私達も知ってなきゃおかしいよね?」
そう。ゆる姉様とミツルギ姉様は別世界の神様だから分からないし、情報は与えられていて然るべきだけど…
「ダンジョンとは基本関係ないものですからね…怪異として別の世界に…と言ったものですし。だから話していなかっただけなのかも知れません。
ただ、その中でダンジョンがあったという情報もあるのですよ」
「…情報だけで実際は分からないって事かぁ」
年に何件か寄せられるダンジョン発見情報の中で実家から少し離れた所にある幽霊屋敷…そこの怪異情報も記録として何度か見た。
「あの人達が住んでいた地域にある神隠しの家と呼ばれる幽霊屋敷の開かずの間は恐らくダンジョンの入口ではないかと思います」
情報が寄せられて10年以上経つのに今だダンジョンとして確認できない都市伝説ダンジョン。協会名は境界ダンジョン。
奴に行ってもらうとするかなぁ…
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