937話 各地の様子(地球外)


 SIDE:本部(ユルフテラ)


「おみみがピコピコうごくにゃんこかわいいかわいいよにゃんこ」

「おがあざんどいっじょにずごぜるぅぅぅっっ!」

「巫女にゃんこが幸せそうで良かった…バッドエンドだったら怒りに身を任せて地球を攻撃していたよ…」

「巫女にゃんこ達に会いたいんですけど!何処行ったら会えるんですか!?地球!?地球にいるんですか!?なんか気配感じないんですけど!」

 本部は現在、混乱のただ中に叩き込まれていた。


 鑑定センター内にいた殆どの女神分体達が本体の強い感情を受け、次々とダウンしていった。

「っ!鑑定稼働率が40%ダウンしている!?…僕が処理を肩代わりして受けるとしてもこれは…」

 ユルフテラは険しい表情で分体を創り出し、代わりに処理を行う。

 そんな中、

 ヴィーッッ、ヴィーッッ…

 センター内に戦闘警戒アラートが鳴り響いた。

「やはり来たかっ!さっきから波状攻撃を…」

 苦々しい顔でセンターから外へと駆け出る。

 空を見上げると巨大な竜が巨大な口を開け吠えていた。

 大物が出て来たことにユルフテラは更に表情を険しくする。が、


「余韻くらい浸らせろや!」

「この愚か者が!死 ぬ が よ い!」

「ぬこたんとの戯れを邪魔するなぁぁぁぁぁっ!」

「探査探査探査探査ああああああ!!!」


 駆けつける間もなく秒殺だった。

 ───なんか、警備部隊が尋常じゃないくらい狂化、いや強化されてないかな?

 今攻め込んできた奴、一時期中位世界を席巻した惑星喰らいだよね?

 物理攻撃を悉く無効化する邪竜だったはずなんだけど…


「っしゃ!撃墜!」

「隊長!俺的には母巫女にゃんこのあの未亡人オーラ最高だと思うんですが」

「あのちびっ子の何にも分かっていない無垢さが良いのよ!」

「主人公の巫女にゃんこを忘れてもらっては困るな!」

「あのー…巫女様配信始めてますよ」

『なにぃ!?』


 普段からその力を十全に発揮して欲しいのだけれど…と少し遠い目をしてしまったユルフテラだった。



 SIDE:神域


「いない?待て、居ないと言うのはどういう事だ?」

「そのままの意味ですよ。奴は居なかった。恐らく観自在菩薩と私が現れた時点で逃げたのだろうと」

「…逃げられるモノなのか?」

「他化自在天は元よりそういった事をする存在ですから」

 勢至菩薩の言葉に閻魔王は息を吐く。

「下界に逃げた可能性は高い、か」

「もしくはどこかの神域に紛れ込んでいるか…ですね」

「観自在菩薩はどうしている?」

「十王庁舎の視察をしていますよ。最新のテクノロジーとアナログの融合が素晴らしいと満面の笑顔でした」

 絶句する閻魔王。

 緊急事態ということで部下に任せてはいるものの、業務は止めているわけではない。そこに観自在菩薩が現れたとなると…

「…薬師代行に捕まるぞ。アイツ」

「えっ?まさか…」

「最悪の事態になった場合、出張って頂く準備はしていた。他化自在天にとっては天敵のような御方だからな…さて、そんな時に出会したらどうなるか…」

 にちゃあと閻魔王は愉悦の笑みを浮かべ、うわぁと勢至菩薩は顔を引きつらせた。

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