866話 例えばこんな朝の風景
「おっにぎりおっにぎりぎゅっぎゅっぎゅっ」
『おっにぎりおっにぎりぎゅっぎゅっぎゅっ』
はい。ただ今マイヤとおにぎり作ってます。
『やっさしくふんわりぎゅっぎゅっぎゅっ』
マイヤのちょっと小さめおにぎりと特大おにぎりが良い感じ。
むしろそれは僕が食べたい。
───などと言っている午前0時。課長達のお弁当を作っておかないと…と言いつつも神様方の朝ご飯も一緒に作る僕でした。
『私もおにぎりぎゅっぎゅしたいです…』
『リムネーはマイヤのおにぎりのできを味見して教えてくれるかかり!』
『はいお姉様!喜んで!』
本当にリムネーはマイヤ大好きだよなぁ…
おはようございます。
僕が起きた時点でおにぎり弁当はなくなってましたし、マイヤ達が神様方へ配膳を済ませたという事なのでのんびりボーッとしている。
「まだ6時なってないのか…マイヤはハヴァスターイ様と遊んでいるみたいだし、リムネーは僕の隣で寝ているし」
「なんか凄い呟きが聞こえた!?」
「おはよう佑那。朝からテンション高いね」
「本当に隣で寝てる!?薄い本みたいに!?」
「…もうちょっと寝ようかな?佑那、ご飯はテーブルの上にあるから」
「あっ、はい。お休みなさい…ナチュラルにリムネーに抱きついて寝ちゃってる?し…リムネー起きてるし」
『お父様を甘やかしたいだけです』
「僕も起きてるよ?リムネーに抱きついているだけだし」
ただハグしているだけだし。
「なんてうらやまけしからん事を!」
「いや、最近そんなにリムネーとスキンシップ取ってないなぁって思って」
マイヤがフォローしてくれているけど、寂しそうな顔するから…
『お父様とのふれあいが足りないのです』
「うわ、艶やかな笑顔で言い切った!」
艶やかな笑顔?どんな笑顔?
「本当はリムネー、甘えんぼさんだからねぇ」
「う~~~~っ!私も兄さんに抱きつく!」
「講義は?」
「2講目からだしまだ6時台だから!」
そう言いながら佑那が僕のお布団に入ってくる。
「しょうがないなぁ…ちょっとだけだよ?」
佑那も二度寝なら自室ですれば良いのに…皆で一緒に寝たいんだね。
「アンタ達何やってるの…」
「ラヴィお姉さん…今帰ってきたの?ご飯テーブルの上だよ?」
「今帰ってきたの…漸く政庁が人でも回るようになったからね」
「人員確保出来たの?」
「独立機人と誰かさんの援軍のおかげで治安部から内勤出来そうな人を配置換えして漸くよ…」
もの凄く疲れた声でそう言いながらお布団を引っぺがした。
「佑那ちゃーん…いい歳なんだからお兄さんに抱きつくのは駄目よ~」
「そんなっ!?兄妹のスキンシップで…」
「そういうのは立っているときに軽いハグで十分でしょ?」
「ラヴィ姉さんはそれで耐えられるのですか?」
「………………私はほら、一つだった時期が長いから」
佑那の台詞にあからさまな動揺のあと、警察の職質待ったなしレベルの挙動不審さでそう返した。
「なんでそんなに目を泳がせながら言うんですか!?」
「寝る時は抱きしめないと眠れないのよ!」
僕は抱き枕か何かかな?
「立派に中毒者じゃないですか!」
「代替案はリムネーちゃんを抱きしめて寝る事よ!」
「駄目だこの姉、何とかしないと」
「ブーメランが刺さっているよ、佑那…」
ああもうこれじゃ眠れないよ…あと、リムネーが僕をしっかり抱きしめている。
というよりもこれ、ハグの範疇超えてない?
『お父様と一つに…素晴らしい考えですね』
アレ?スキンシップ不足で変なスイッチ入った!?
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