301話 3day PM6~かみさまがたからは、にげられない!

 佑那達の配信を全員でガラス越しに見る。

「今のは、ニート宣言でしょうか…」

「佑那さんも巫女に…」

「お兄様と契約して、巫女になって!」

「岩崎の方々は基本規格外ですね」

 いや、僕と契約しても巫女にはなれないですよ?


 とりあえず佑那を放置して全員で僕の部屋へ───と思ったら佑那から助けてコールが来た。

「お兄さんの生配信見たいです!」

「いや僕は謹慎中ですから…」

『ゆーちゃん!ちょっとだけ!ちょっとだけで良いから!』

 またもやフロア放送。流石神様、逃がす気が無い。

 扉を開けて中に入る。

「ゆーちゃん確保!」

 そして即座にゆる姉様に抱きしめられた。

「ゆうくん確保だよ!」

「わーかくほされましたー」

「兄さんその棒読みはちょっと…」

「僕謹慎中ですよ?…ほっぺスリスリし…うにゅ」

「ゆーちゃんからしか得られない成分がある」

「やっぱりゆうくん抱き枕必要だよ!?」


『全財産で』

『ロリッ子よりもその格好で!』

『通常の巫女様が良い!』

『通常って、男?女?』

『片面男片面女でよくね?』

『巫女様性別はゆーちゃんだし』

『ああ。尊い尊い尊い』

『初めて見た時から信者です!』

『初見です。入信します』


「抱き枕の話は消えなかったっけ?」

「「はい。すみません…」」

 二柱の女神様はしょぼんとした顔で僕を離してくれた。

「僕と佑那はこれで失礼しますね?お夕飯は───一時間後で良いですか?」

「うん。まだ時間的に早いかな」

「今日は何?」

「中華ですよ」

「「中華!」」

「たくさん作ったので遠慮無く召し上がって下さい」

「「いいのっ!?」」

「はい。食べ尽くして下さい」

「「やったー!!」」


『食育ってだいじやね』

『イヤこれ食育ではないだろ』

『ハイレベルおままごと?主夫ゆーちゃんで』

『現状から否定出来ねぇ』

『てぇてぇけど、おねショタ系希望』


「では僕たちはこの辺で失礼します」

「失礼致しました」

 僕たちはスタジオから脱出する。

「───緊張したぁ」

「いや、佑那慣れてよ」

「慣れない!神圧凄いんだよ!?」

「基本フレンドリーな神様しかいらっしゃらないから間違った対応しなければ大丈夫」

「このビル、コンシェルジュさんですらドン引きするほどの猛者なんだけど?」

「えっ?どっち?女性?お兄さん?おじさん?」

「今日居た人…お爺さんの方」

「瀨場さん?格好いいよね!」

「えっ?せば?」

「瀨場さん。娘さんもコンシェルジュさんで、ここに住んでいるよ」

「住み込み…なんか、拳で小鬼くらいなら倒せそうな力を感じる人だったんだけど…」

「元警護官だったらしいよ?6年くらい前に退職したって」

「……香椎のお爺ちゃんまではいかないけど、おじさんクラスだと思うんだけどなぁ」

「まあ、そんな事より…どうぞ」

『失礼します』

 全員を僕の部屋に案内した。

 ちょっと事情を聞いた後で夕食を出すために。

 静留さんは兎も角、佑那のお友達三人をわざわざ連れて来る必要は無い。

 そして兄さんのあの台詞。

 外では何が起きているのか…は置いておくとして、皆に何が起きているのかを知りたい。

 あくまでも関係者範囲。

 それ以上は謹慎中だから聞きませんっ!


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