310話 ???〜脳がバグる食べ物達
…うん。
ピーマンの形をしているけど、味はマスカット。
パプリカの見た目で味は巨峰。
でも両方とも口の中の水分持ってかれる感じで後味が青臭い。
じゃがいもの形と固さだけど、味はかいわれ大根。
ほうれん草の形をしているけど、味はオクラ。
他にも数種類の食材を持ってきてくれたけど、結構微妙だ。
「肉は普通に肉の味だ。ただ、野菜系がなぁ…」
ほうれん草ぽいものとじゃがいもっぽいものを千切りにして酢醤油で和える。
「はい」
「…うん。まあ、普通にうまい」
「………うちのもの、普通に食えるものが、あったのか」
まずそこから!?いや女神様なんですからそこら辺調整しなかったんですか!?
「ちなみにほうれん草もどきは火を通すとえぐみがすごく出るし、そのセロリもどきに至っては生だと人参味だが、熱を加えると腐敗臭がする」
「いや本当に作るもの間違えていませんか!?」
「どうしてこうなったんじゃろうなぁ…三徹テンションで植物類作ったのが間違いじゃったわ〜」
何やってるんですか女神様…
「友紀…この世界自体そんなに古くはないんだ」
「そうなんですか?」
「ええ。ただ、食文化が入ってきたのがおよそ250年程前じゃ」
いやいやいや…ぇえー?
「ただ、この毎日の攻撃はここ数千年じゃな」
ため息を吐きながらぼやく女神様。
神様感覚的に最近かぁ…いや、兄さんも最近扱いだったし。
「でも250年位前に何かあったって事ですよね?」
「うむ。そっちの世界の人間が飛ばされてきおってな」
何ですと?
えっ?上位世界に僕たちの所から?
「源内とか言う男が流れ着いてな。まあ、2~30年くらいじゃったが、色々引っかき回してくれおった」
「まさかとは思いますが…鉄人の和装も?」
「うん?こやつから聞いておったのか。そうじゃ。そこから鉄人どもは槍や刀、弓など使い始めおったわ。香辛料などもそやつの功績じゃな」
源内先生なんて事してくれたんですか!
頭を抱えたくなった。
「友紀。これだけは言っておく。この世界に米はない」
「えっ!?」
「ただ麦はそのままの姿で味もそのままだ」
良かった…本当に良かった!
「ただ、パンはない」
「なん…ですと?」
もしや菌の類がない?
兄さんを見る。
「菌などはいるにはいるらしいが、かなり繁殖しづらいようだ」
「オワタ…いや麦があるから麦飯でも良いんですけど、お米に比べて粘り気はないですね」
「握り飯にするのもなぁ…そう言えば聞きたかったんだが、麦は一種類だけなのか?」
女神様へ兄さんが問うと首をかしげられた。
「?良く分からぬが、麦は麦では無いのか?」
おっとぉ?
「麦は種類がありますよ。兄さん。ここの麦は?」
「大麦だな」
「せめてもち麦を!もち麦があれば何とかなる!」
少なくともあわせ麦ご飯なら!
「先程のおにぎりみたいな物も出来るのか?」
「出来ます…少々お待ちください」
ラタンバスケットを取り出し、二種類の麦を取り出す。
「では、お試しにこれらで作ってみます」
さて、麦ご飯と、もち麦団子を作ろうか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます