311話 4day PM2~状況打破
SIDE:世界
「二カ国にはロザリオを貸与出来ましたが…まあ、これが限界ですね」
『もっと寄越せと言うように指示が来ると思っていましたが』
「言いたいのはやまやまですが、巫女や神々とのコネクションを持つあなた方が亡命しかねないので」
『はっはっはっは…』
「否定しないのが怖いですよ」
『そちらの状況はどうなのでしょうか』
「…他国よりは大分マシですが、マシという程度です」
『やはり合衆国の武器等は…』
「弾薬供給を彼の国に頼っている部分もありましたからね…頭の痛い話です」
『いっその事、中世に戻っては?』
「一部それを始めていますよ…エスケレトには鈍器が有効のようですから」
『昔それをして大勢の探索者が弾かれて命を落としましたがね』
「今は神々の調整のおかげで弾かれることはありませんし、多少は効いているので」
『そういった意味では恐らく万人向けの調整をした。と考えた方が良いのでしょうね…巫女様のおかげで神々も少しは回復していると仰っていましたので』
「───待ってください。その話は初耳ですが?」
『先程昼食の際に伺いました』
「え?待て。神と直接対話を!?」
『フレンドリーな神もいらっしゃるので。むしろ神が巫女様を信仰しているレベルでしたね…』
「なにそれ怖い……しかし、日本は食糧事情はまだ問題無いのだな」
『いえ、少しずつ悪化しているようですな。物価が上がっています』
「巫女のいるマンションだから…か」
『メイドイン神域で作られたパスタは絶品でした』
「待って!君は本当はどこに居るの!?」
『巫女様の御座す日本ですが何か?』
「神域で農作物を育てているだと!?聞いてないぞ!?」
『これも先程伺いました。神々としては7日目、石板隣に支援物資交換所を設置し、ダンジョン由来の代物と食料等支援物資を交換する予定とのことです』
「なんだと!?レートは!?」
『まだ検討中とのことで、変動制にするかも知れないと』
「こうしちゃ居られん!ダンジョン省に連絡をしなければ!」
『では報告書は後程送りますので』
SIDE:探索者協会本部
「歩みから考えて到着は明日ですね」
長谷川がため息を吐き、念のための防衛計画を再調整している中、緒方がコーヒーを持って会議室へを入ってきた。
「聖者職はどれだけ居るのかな?」
「現在職員及び協力員で22名。うち、戦力になるのは12名ですね」
「多いと見るか少ないと見るか…」
コーヒーを長谷川の側に置き、少し離れた席に着く。
「多い方かと。カウンター業務や事務職員を加えての数ですが…」
「それで、百鬼夜行は本当にこちらに来るのかな?」
「恐らくはこちらを通過して江戸城…皇居へ向かうと言うことでしょう」
馬鹿でかいため息を吐き、緒方はテーブルに突っ伏す。
「こうなってくると馬鹿な売国議員…都議含めてだよ?をまとめて奴等の餌にしたい気分だよ」
「気持ちは分かりますが、それは…」
「ただの悪意マシマシの愚痴だよ。気にしないで。馬鹿な売国議員を親戚にいたと知った怒りだよ」
「…ああ。心中お察しいたします」
「───で、外部協力は?」
「見込み薄です。避難者含め集中しているので回せないそうです。それどころか何故か財務省から私に首都防衛の命令が下されそうになったのでこの区の人間を見捨てるという事をアナウンスするという事で良いか確認した所、ここで防衛しても良いと」
「君の実家の関係者かな?…まったくどいつもこいつも…」
緒方のぶつけようのない怒りが憤怒の表情と手の震えから分かる。
「恐らく藤岡課長の方にも連絡はいっているでしょうね…彼女は強制徴兵があればここを辞めて神域マンションの警備員になると宣言していたので、色々絶望的になるでしょう。ああ、藤岡課長が辞めた場合は私も辞めますので」
「───マジで勘弁してくれ。これ以上勉強の出来る馬鹿扱いされるような事には…いや一部だってのは分かるけど…っ!」
協会本部の危機もすぐそこまで近付いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます