1040話 おたけさん?との電話対談
野心はあるのかと問われたら「仲の良い職場の人、優しい上司に囲まれて、普通の生活をして、穏やかに過ごしたい」と答える程度にはある。
『貴様には、欲というものが無いのか!?』
「普通にありますよ!?だからちゃんと正直に言ったじゃないですか!」
『そんなものは欲とも呼ばんわ!』
「えー?…藤松さんの所の手作り味噌がそろそろ切れるからそれが欲しいとか」
『それはただ味噌が切れそうだから欲しいなというレベルだろうが!もっとこう…ないのか!?美女を侍らせたいとか!使えないほどの金銀財宝や権力、永遠の命等!』
「美女って…神様方は美女ですし部長も課長も巽さんも箱庭の皆も女性陣は全員美人ですよ?みんな側に居ますけど…」
『違う…いやはべるの意味としてはあってはいるが…使えないほどの金銀財宝はどうなんだ!』
「えっ?今この世界でそれ必要ですか?どんどん物価上がっていますよ?自給自足の方法確立させた方が豊かになりません?それに普通に生活していたらそんなにお金使いませんし…今は食料関連を握っている人の方が強いかと」
『正論が痛い!?だったら権力は───神々の側に居る以上権力の範囲外か』
「ですね。最悪神国に渡れば俗世の権力とは無縁になりますし」
『永遠の命はどうだ!』
「神々でも死ぬのにですか?」
『…貴様は、貴様は何なんだ!?』
「一般人ですが?」
『こんな一般人がいるか!神や聖人、仙人をも堕落させるのが欲だぞ!?』
「欲って常に持っていなきゃいけないんですか?それは疲れません?」
『……本心から言っている、だと?草食獣でももう少し欲望があるぞ!?』
「そんなに愕然としなくても…」
えーっと、恐らく地球の神々が必死に捜している方が職務中にコンタクトを取ってきました。
電話で。
その方法は想定外だったなぁ…なんて思いながら電話応対をしていたのがさっきのやりとりなんですよ。
他化自在天様は現在都市結界のない所にいるらしいけど…
「あっ、他化自在天様に聞きたいことありました」
『…何だ?知識欲か?』
「いえ、他化自在天様ってマーラとかシヴァ神と呼ばれていますが…名告り多すぎ問題なのかなぁと」
『あー…そもそも他化自在天というのは界の名であり言わば場所だ。そこの王であるからそう呼ばれているだけだ。越前の守とかそういったものとでも思っておけ』
「なるほどぉ…」
領主的な感覚で良いのかな?いや駄目な気もするけど。
『我が名は初期仏典に残っている。捜してみることだ。他には?』
「あ、何でダンジョン側に?」
『その方が均衡が保てていたからだ。世界を滅ぼす存在だというのは分かっている。しかしそれをどうでも良いと思えるほどこの世界は末期だったのだ。遙か昔からな』
「であれば早々にリセットをすれば良かったのでは?」
『…貴様なかなか怖いことを言うな?まあ、それもそうなんだが…神々にその力は残されておらんよ。残っていたら余所の神が救援には来ない』
ああ、成る程。
『───今、なにか妙な呼ばれ方をされた気がする…』
「おたけさんが鋭い」
『誰がおたけさんだ!』
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