864話 アディエーナ先生の転移授業
ゆる姉様がじっとこちらを見ている。
スルー推奨だ。
せお姉様もじっとこちらを見ている。
こちらもスルー推奨だ。
全員に配膳を終えスッと下がる。と、
おっとメッセージが入った。
部長から?…明日、明後日は終日リモートワークをして欲しいとの連絡だった。
タイムさん達居ないから転移出来ないし、課長や巽さんが居ないから外出も自粛して欲しいという事かな?
……本格的に転移を学ばなきゃ…
「転移ですか?アレ?一度習いませんでした?」
アディエーナ様が首をかしげる。
「空間把握とゲートに関する物は少し習いましたけど、本格的なものは…」
「あー…神になったからもう覚えた物としていましたか。では代表的な2つの方法を説明と実践しますので…安全な箱庭で行いましょう」
僕らは箱庭へと移動した。
「まずはこの世界で言う遍在法ですが、主に仙人や精霊が行う方法です。
体を世界存在に分解し、目的の場所で再構成を行うという方法です」
「アディエーナ様。その時点で僕にはできないと思います」
うん。体の構成分解がまず無理。
「まあ一応の説明です。これは移動だけではなく眷属作成の時にも使う技法なので説明しておかないと」
「えっ?」
「無から有を生んでいるように見える事から殆どの世界の放浪神は何も知らない現地生命体にこれを見せて「無から有を生み出すのは神の所業」と言ってるわけです」
「ああ、他の世界からやってきた神様が…」
「因みにリムネーさんもこれに限りなく近い方法ですよ?貴方自身が理解出来ていないようですけど」
えっ?
「ええっ!?」
「あんな化け物スペックの写し身を作っておいて何故そんなに驚くのかが分からないですが…それにこの手法で身体変化を行っているのですけど」
………あ。
「成る程。僕のモードチェンジはこの理屈で…でも邪魔される事は?」
「変形時に形成膜と保護膜を展開しているからそう簡単に突破出来ないわね」
成る程成る程…
さなぎみたいなものと考えれば…いやそれはちょっと…うーん。
「これの問題点は意識の置き場所なの」
意識の置き場所?
「この世界で使われている2大理論の1つ、魂魄理論で言うと魂の置き場所…といえば分かりやすい?」
ああ、そういう…成る程分かった。
「意識体であれば超高速移動が可能だからってことですね」
「そそ。それと次に説明するゲート法もしくはテレポート?…に関しては不完全と言うよりも欠陥論だからゲート法をきちんと説明するわ」
テレポート駄目なのか…
「ゲート法は2種類あってポイントドア方式と置換法ね。さっき言ったテレポートはこの置換法の亜種ね。
そのまま入れ替わるせいでその座標にある者の中に保護も何もない状態で入れ替わって…グシャリ、もしくは置換失敗で構成物がその周辺にある物で構成されると」
まさかの「いしのなかにいる」!?もしくは体が石化とか!?怖ァ!
「だから置換法に限らずゲート法は先方ポイントに必ず行った上でポイント設定とゲートキーパー・結界点を構成、維持する必要があるの。そう言う意味では一番安全なものはポイントドア方式ね」
確かに…あ、でも。
「前に協会のドア使って移動しようとしたとき、異界で待ち伏せがあったんですけど…」
「それがポイントドア方式のデメリットなの。無防備ではないけれど、転移時に邪魔が入ると異界に飛ばされてしまう可能性がある。
これが置換法の場合は篭の中の鳥状態ね…」
怖ぁ…!
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