559話 語られたことと、聞きたくなかったこと

「───ああ、なるほどなるほど」

「にぃに…兄さん?」

「無理しなくてもいいぞ?…彼女の所の詳細を調査させていたんだ」

「誰に?」

 知り合いの情報屋さんは…日本のみだよねぇ…多分、きっと…

「本邸の世界図書館に」

「え、なにそれ…本邸?えっと、本部では無く?」

「ああ。本邸の世界図書館はあらゆる事象を記録している。例え奴等に不都合なことであっても意地でも記録するんだ。其奴らに問い合わせをした」

「「えっ?」」

 意地でもって…奴等って…



「本邸…って、神様方の親玉中の親玉でしょ?」

「いやぁ…向こうはある意味独立しているな。やりたい放題しすぎるから本部があるんだ」

「…どういうこと?」

「まあ、その件は今は関係ない。ラベル「ラヴィ!」…の話の流れで語られていない部分なんだが、邪神を討伐した後、神の復活を目指す賢者と将軍らをだまし討ちする形で幽閉。魔術師と王が暴走し、全世界に虐殺の嵐を巻き起こした。

 神の封印と邪神抹殺を確認に来た本邸の裁定神に対し暴走した魔術師と王、そして複数の対邪神戦のメンバーが闘いを挑み…全員封じられた」

 兄さんはチラリとラヴィお姉さんを見る。

「………」

 ラヴィお姉さんは俯き何も言わない。

「そしてその世界には賢者と将軍含む5名の人間のみが生き残る。罪人達は存在を3つに分割された後、牢貨へ入れられ9,114,528,831の正しい手順を踏む以外はほぼ永久罰だ。

 そして神は復活したが、現状を嘆き自らを罰するよう嘆願。残った5名の人間も神に殉ずると言い、2枚の牢貨へと分割される…友紀。コイツの復活に使われた枚数は?」

「2枚と、賢者のメダル…」

「まあ、賢者は此奴の姉だ。問題無い」

「どうしてそこまで!?」

 ラヴィお姉さんが涙目で兄さんを睨み付ける。

「記録されているんだよ。ただ、特別な許可が無いと閲覧どころか情報確認の申請することすら出来ない」

 いや、なんで兄さんそんな簡単に…あ、目を逸らした!僕関連で言いたくないことがあるんだ!

「何を取引に使ったのかなぁ?ねえ、にぃに?僕の目を見て答えて欲しいなぁ…」

「そんな超至近距離で言われると…うっかりキスするぞ?」

「じゃあキスしたら言ってくれる?」

「普通に答えるよ…巫女様関連同人誌が出ているらしいから各4部買ってきて欲しいんだと。それが交換条件」

「「なんでそのレベルの俗な頼み事と重要な情報が等価値なの!?」」

「流石10年近く一緒だっただけあるな…ああ、因みに牢貨は3枚分割、奉納貨は2枚分割が、名称は全部奉納貨だ。これ豆な?そして現在牢貨は339枚あるらしい」

 なんで平然と色々ぶっ込んでくるの!?

 情報量が多すぎて僕パンクしちゃうよ!?

 あれ?でも…

「悪魔とかは?」

「ああ、その裁定神が悪魔4体とその眷属2体を始末した上で反逆してきた連中を処断したらしい」

 と言うことは、操られていた人も居たけど、最後は自分の意思だったと…その人数は分からないけど。

「あともう一つ」

「?」

「その世界図書館の館長がお前の探している神だ。ここに乗り込んでこようとしたうちの一柱だな。無論、殴った」

「「!!??」」

 聞きたくなかった!滅茶苦茶聞きたくなかった!

「まあ、殴った後知ったんだが…で、メッセージのやりとりをしている」

 もう………お腹いっぱいすぎて…感情が追いつかないです…


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