846話 危険な現状・ギリギリのバランス


 おはようございます。

 朝ご飯を作って神様方に持っていった際、神界へ進入していたダンジョンのゲート…仮称:棘から現れていた兵が止まったとのこと。

 どうやら50万くらいの兵がいたとか…人間側の多少神聖系でコーティングした弾頭では全く効かない相手と言うだけに、人類にとっては朗報かも知れない。

 ただ、使われたのはその消えた国の人々だというのはほぼ確定だけに、辛い。

「あの人達が無事にあの世、もしくは天国へと旅立てますように…」

 あと一点、ミツルギ姉様が恐ろしい事を言っていた。

「神界は神々の自陣とも言うべき場所。なのに少し神器の通りが悪かったのは…相手が強かったから?それとも裏切り者の妨害工作?」

 …どちらにしろ、危険な事には変わらないと思う。


 国一つを消したあの黒い空間は未だに健在で周辺の国は全力で結界の維持に努めているらしい。

 防衛ラインを結界側まで下げ、戦闘出来る者をダンジョンに送り込んで採掘を行っているらしい。

 あとはこれまでの防衛で倒した奴等から回収した魔石片を各地域の石板に半分ほどを投入して補強しているとか。

「あれ、止められるんですか?」

「アレは世界の侵蝕なので理論上は止める事は可能です。ただ、防衛と侵蝕のスピード次第…ですね」

 どうやら地球という下位世界ではアレが限界だろうとの事。

 例え侵略であってもその根本的ルールは変えられないらしい。

「ルールガン無視の兄さんという存在が…」

「………うん。兄者は無理。彼だけは理から完全に離れてしまっているらしいから」

 ゆる姉様が今回の件も含め本部に問い合わせた所、この棘をなんとか出来るのは今のところ兄さん以外いないらしい。

 と言うのも、その技術、知識、そして”向こう側の力”を自在に使えるのが兄さんだけであり、それを使う事によって漸く致命傷を与えられる…らしい。

 でも僕も大ダメージ与えた気が…と思ったらゆる姉様が真顔で、

「ゆーちゃんの箱庭の神気はアレだよ?ゲ〇ター線的な超進化とかそんな感じのトンデモな代物だからね?お水もゆーちゃんが使い分けているようにかなりトンデモな感じだからね!?」

 いや、箱庭の神気は普通の神気だからね?超絶高濃度だという以外は…世界が広くなったからだいぶ薄まったと思うけど。

 …あれっ?そう言えば白城さんが神気を浴びて進化を遂げた救命士って言ってたけど、当初からずっと出続けている白城さん達は?

 あとで聞いてみよう。


「おはようございます」

「ああ、おはよう岩崎」

 課長がだいぶ草臥れている。というか、またぶっ通しでお仕事していたようだ。

「課長、おはようございます…随分とお疲れのようで」

「今日は午後は休ませて貰うよ…何も考えずにエモノを振り回したい」

 うわぁ…思考が危険な方向に行きかけているぅ。

「大丈夫ですか?膝枕します?少しでも仮眠を取った方が良い気がするんですが」

「…………いや、今お前さんの膝枕は非常に危険だ。色々取り返しが付かなくなる可能性がある」

 何が起きるんだろうか…

 とりあえず昨日起きた事などの確認をとり、今日のお仕事を開始した。


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