800話 ユルフテラ様憤怒する
「───と言うわけだ。奴等はこちらの法と道理を無視して奪いに来たというわけだ。しかもそれを不敗の戦神達に対して恫喝してまでね」
「ああいった手合いは偶に見かけますが、大概小物ですから」
微笑むミツルギ姉様。
「しかしなぁ…僕に対して「たかが地方の神」と言っていたねぇ…」
「「あっ…」」
「更には友紀くんを私物化しようと…フ、フフフ…」
うわぁ…神威ダダ漏れですよユルフテラ様。
「まあ、結果的にあの神は僕の名に於いて500年の幽閉生活さ。きちんとあちらの世界にはアナウンスしたから。
他の世界の巫女神を攫おうとした罪により幽閉するって…ただ、その神の権能はその期間だけ遣わされる神によって遅滞なく治められるから安心するようにとも、ね」
あっ、もの凄く怒ってるぅ…ほぼ後任人事扱いですよね…
「と言うよりも神と神官達を神威で消し飛ばしたよこの
「ガチギレですやん…」
「送り返しただけだよ」
送り返した(物理)。
「ゆる姉様もミツルギ姉様もユルフテラ様も対処して下さりありがとうございます」
「勿論だよ!友紀くんの敵は僕の敵だからね!」
「「メッチャ私的ぃ…」」
ゆる姉様とミツルギ姉様が戸惑っているけど、実は私的じゃないんですよねぇ…
「これは本部の総意だからね。私達は技術や物資の提供を受けているのに守らないというのもおかしな話でしょ?それに、結羽人くんを敵に回したい?」
「「あっ」」
「友紀くんを守る理由は大量にあるんだよ?分かったかな?」
「「はい…」」
「と言うわけで僕は帰る……前に箱庭に寄って良いかな?アレを見たいんだ」
アレ。
十中八九あの像だと思う。
「あっ、はい…調査するというお話でしたね」
「そそ。調査しないと…鑑定結果のみでは訳が分からないからね」
そう言うユルフテラ様の顔は…デレッデレだった。それはもうゆる姉様やミツルギ姉様が「「えっ?」」ってなるくらいに。
「ささ行こうか!」
僕は腕を捕まれたまま箱庭へと跳んだ。
「っと、流石の警備網。許可を得ていてもいつも5重のチェックとはね」
箱庭に降り立つと先に来ていたマイヤが僕に抱きついてきた。
『パパ、ユルフテラお姉ちゃんを大聖堂に連れて行けばいいの?』
「うん。お願い出来る?それが終わったらさっき仕分けたアレを渡してね?」
『うんっ!ユルフテラお姉ちゃん、いこ?』
「よぉし、お姉ちゃんと手を繋いでいこっか」
───さっきまでの姿は何処に…迷子になっちゃったかなぁ…
そんな事を思いながら見送る。
「さあて、配信時間きめてはいないけど、少しでもやった方が良いかなぁ?」
僕がそう呟いた瞬間だった。
大聖堂から光の柱が立ち上った。
「えっ?何事?」
初めて見る光景にどうしたものかと思っていると佑那がやってきた。
「アレ?兄さんがいるって事は神兵の皆かな」
「いや何の話?」
「大聖堂の像ってある程度信仰が溜まったらああやって放出されるから」
「初耳なんだけど!?」
「えっ?………しまった。秘密だったのかぁ…」
「皆秘密主義が過ぎない!?」
「いやぁ…何が秘密でどれが違うのか分からないし」
…確かに!この箱庭に秘密らしい秘密はないや!
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